レイは、ベッドの端でボーっとしている
暇だからではない
今日は、シンジがトウジ達と遊んだ後、家に来る予定だった
なのに、アミューズメントパークで遊んでいるところでミサトに会い、ネルフの用事で来れなくなったと電話があったのだ
その途端、涙が浮かんだレイ
その涙が自分の手に落ちた時、レイは自分が泣いている事を知った
そんな自分に驚くレイ
「・・・これは・・・何?・・・涙?・・・如何して私は泣いてるの?・・・私は何が悲しいの?」
自分が悲しんでいると云う事は理解できたが、何故悲しいのかが判らない
そんな理解不能な自分の感情に呆然としていたのだ
レイは考える
自分はヒトではない、だから感情など無いのだと思っていた
なのに、最近シンジの事で今までに感じた事の無い心の流れを感じる
このままではゲンドウの計画に支障が出るかも知れない
だが、シンジと居る事の暖かさや嬉しさも捨てられない
自分がこのまま今感じている事に流されていけば、やがて自分は殺されてしまうだろうとも思う
今の感情を振りきって元の綾波レイに戻るか
それとも、シンジの傍に居てこの理解不能な、しかし気持ちの良い感じを、保ちつづけるか
レイの心は揺れた
レイは気づいていないが、無に帰るという選択をこの時はしなかった
レイはコンビニで買ってきたお弁当に箸をつける
だが、美味しいと感じない
シンジと一緒に食べた時にはこれもそれなりに美味しいと感じたのに
レイは、今とその時の違いについて考えて一つの結論に達した
それは、シンジが居るか居ないかの差だと
そう思うと、レイは更に悲しくなった
シンジが居ないと云う事が
レイが悲しみに沈んでいる時、不意に携帯電話が鳴った
出ると、それはシンジからだった
早く用事が済んだから今からこちらに来るらしい
一気にレイは笑顔に変わる
そしてレイは思う、自分が今感じているこの色々な感情をシンジに教えてもらおうと
それは、レイが世界に足を踏み出す本当の一歩になる
後書き
あの方の来日ですが、登場しませんでした(笑
本当は”シンジが居ないと云う事が”で終わろうかと思ったのですが、止めときました
次の話には本当にあの方が登場します
それでは
タッチでした