レイはSHRの間ずっと窓に映るシンジを見ていた
何時もの日常、何時もの日課
だが、今日は教室が騒がしい
どうやら、転校生が来たようだ
相変わらず他人に興味の無いレイは、そんな教室の雰囲気など気にせず、シンジを見ている
その時、レイは気づいた
シンジの顔が、優しい笑みを浮かべて転校生を見ている事に
心が痛くなるレイ
転校生を見ると、彼女もシンジに笑みを返している
レイは漠然とした、何か言い知れぬものに心を囚われた
自分の新たな感情に呆然とするレイの前に人影が現れる
転校生、アスカだった
アスカの言葉に、心を落ち着かせつつも
「命令があればそうするわ」
と、答えた
未だレイは、人と仲良くする事に意義を感じない
彼女が必要とするのは今のところ二人、シンジとゲンドウだけだからだ
更に、この少女が先ほどの不快感の要因の一つでもあったことが大きい
そんなレイの耳に絆を感じる少年の言葉が届く
振りかえるとそこには、顔を顰める感じで何かを訴えるような表情をしたシンジが居た
そんなシンジの表情に、また胸を締め付けられるような感覚に襲われるレイ
だから、レイはシンジに訊ねる
如何したのかと
シンジの答えに、少年が悲しんでいる事を知るレイ
胸への締め付けが更に強くなる
そしてレイは、自分のこの感情も悲しみである事に気づく
シンジの悲しみを、引いては自分の悲しみを取り除くためにも再びシンジに訊ねるレイ
人と仲良くする意思を表すには如何すれば良いのかと
シンジは笑顔になって手を差し伸べてくる
その手を取るレイ
そんなレイにシンジの言葉が届く
改めて、アスカに手を差し出し「宜しく」と言葉を添えるレイ
アスカの表情が複雑な感じに映るが、それは無視をする
シンジの嬉しそうな表情に心が軽くなるレイ
レイは、シンジに対して軽く微笑んだ
驚愕の感情が教室を覆う
担任に促され、割り当てられた席に向かうアスカと、席に戻ろうとするシンジ
二人は、レイの席の前で軽く談笑して動き出す
そんな二人を見てレイは、また胸の中にもやもやとしたものが湧き上がるのを感じる
漠然と、シンジが遠くに行くような、シンジとの絆が切れるようなそんな思いが頭の中をよぎる
そんな思いに突き動かされてか、レイは席に着こうとするシンジのシャツの裾を掴んだ
シンジとの絆が切れないように
後書き
如何も、タッチです
第5話 不安 少し(?)改訂しました
アスカ来日の最後のシーンからの連想にしました
あそこは納得がいきません、普通、転校した時すぐにレイの事を聞くだろうに何故翌日なのかと
その時レイが居なかったとしても、シンジとの遣り取りがあってもおかしく無いはずですから・・・
と言う事で、こんな感じに仕上げてみました
改訂前の後書きにも書きましたが、この話は予定として三部作です
と、云う事で次は、シンジとアスカが戦っている時に戦えないレイの焦りを描こうと思います
それでは