レイの心模様

第24話     生き残るための戦い


現在、ネルフに残るエヴァンゲリオンは2機

使徒の襲来は無いとしても、敵はまだいる

しかも、今までで最悪と言える敵が

それから考えると、余りにも手薄と言うか、危険な状態にある

当然今から新たなエヴァンゲリオンを建造したとしても遅い

最後の戦いには確実に間に合わないだろう

だが、ネルフスタッフは誰一人として慌てた様子を見せない

そう、解決策があったから

複座式エントリープラグと言う解決策が

第6使徒戦でのシンジとアスカのシンクロ率値

それは、未だに抜かれる事の無い記録であり

そこから導き出される能力は計り知れない物がある

リツコは、あれからずっと複座式を研究・開発してきたのだ

現在、初号機、弐号機とも複座式に対応できる様に改装が行われている

そして、チルドレンはベストと思われるペアを決めるため、様々な状況下でのシミュレーションを行っていた

初号機に、メインとしてシンジが乗り込み、ナビゲーターとしてカヲル、レイ、アスカの順番で乗り込みシンクロテストを行い

そのままシミュレーターを使い、模擬戦闘を行ってみる

メインをシンジからレイに代えて、同じように行うなど

初号機での十二通りのシミュレーションを終えると、同じ事を弐号機で行った

その結果、初号機はメインにシンジ、ナビゲーターにレイ、弐号機はメインにアスカ、ナビゲーターにカヲルと決まった

元々初号機はシンジ専用であり、弐号機はアスカ専用であったため、メインの挿げ替えは無理だったのだ

その発表を聞き、素直に喜ぶレイ

アスカは何処と無く悔しそうにしている

それでも、自分は弐号機の専属パイロットであるという思いとプライド

そして、シンジを確実に護れる、シンジに護って貰えると言う思いを持って、心を落ちつかせた

四人は今まで以上に訓練に励む

それぞれのパートナーが決まった所で、シミュレーションを使った連携強化の訓練を始めた

最初に行った訓練はユニゾンであった

同じ機体に乗り込む以上、違う思考・行動は命取りとなる

音楽に合わせて踊るシンジとレイ、アスカとカヲル

レイは昔と同じように、シンジに合わせて踊る

シンジの心を近くに感じて、レイは幸せを感じていた

エヴァに乗り込むと、シンジ以外にも自分を包み込む心を感じる

それは、あの光の中で感じた心

ユイの心

その事も嬉しくて、レイは心の中でユイに感謝する

お互いの呼吸が合い、エヴァの動きが格段に良くなりはじめた頃

今度は、四人でのユニゾン訓練を始めた

それぞれのペアだけ呼吸が合ってもしょうが無いのだ

その考えは四人で一致していた

一つの曲に合わせて踊る四人

その顔にはお互いへの信頼の表情が浮かんでいた

何時しか、重なり合う四人の踊りと心

レイはそれを気持ち良いと感じていた





チルドレン達が特訓をしている頃、発令所も慌しく動いていた

カヲルがこちらに寝返った事は既に知られているであろう事は想像に難くないから

なら、ゼーレが次に打ってくる手は決まっている

ネルフの特務権限剥奪と共に、戦略自衛隊での侵攻

それと共に、自分達の持つエヴァでの強制的なサードインパクトの発生

それらのシナリオが手に取るように判るから

だからリツコは賭けに出た

相手に悟られない様に各支部のマギをハッキングし、本部の制御下へと置くように動いているのだ

当然、悟られれば相手のネルフへの侵攻の動きが早くなり、また、プロテクトを強固にされて、制御下に置くのが難しくなる

それでなくても、例えコピーであったとしても相手はマギなのだ

慎重に事を進めるリツコ

しかも、一台を相手にするのではない

各国にある全てのマギを同時に相手にしているのだ

こんな事は世界広しと言えどリツコ以外出来る者は居ない

また、マヤや青葉、日向等、優秀なオペレーターを抱えている事もリツコが賭けに出る決意をした一つの理由であろう

少しづつ、ゆっくりと、時間をかけて支配領域を広げていくリツコ達

それはやがて完成の時を向かえる

勝利を呼び込む一つの力となって





ミサトは己の執務室に引きこもり、一人考えに沈んでいた

父を失うきっかけとなった使徒

家族として接してきた少女がその使徒であるという事実に戸惑いを感じる

そう、彼女を憎む事が出来ない自分の心に

家族だからなのかと己に問い掛けるミサト

だが、答えは否定の思いとなって返って来る

いや、家族だからと言うのもあながち間違えでは無い

だが、それよりも少女との触れ合いによって感じてきた彼女の純粋さに惹かれている事が憎めない大きな理由となっているのだ

それは、使徒を名乗る少年に対しても同じなのかもしれない

別に家族として接してきたわけではない

いや、つい最近会ったばかりなのだ

それでも、彼の純粋さを知っているから

だからこそ、ミサトの頭は混乱する

父の敵を受け入れている自分に

思考の海に没するミサト

どれだけ時間が経ったのだろう

ゆっくりと眼を開けると

「よっし!」

そう気合を入れて、執務室を後にした

そう、自分から父を奪ったのは使徒ではない

己の野望の為だけに、不必要にアダムに干渉し、使徒を目覚めさせた

表舞台に立つことなく、影で人を操ってきた存在

ゼーレ

それが、正しく自分の父の敵

ミサトはそんな誤魔化しに似た気持ちを持ちながら廊下を歩く

その表情は新たな獲物を見付けた肉食獣のようであり

その思考は冷静に獲物を追い詰めるそれとなっていた

発令所に入るミサト

オペレーターやリツコから現在の状況を聞き出し、何かを思案し始める

やがて考えが纏まったのだろう、司令席に座るゲンドウに顔を向けると

「ネルフのメインスタッフ及びパイロットを第一会議室に召集します」

そう告げた

それに首肯する事で答えるゲンドウ

マヤによってチルドレンに召集がかかり、メインスタッフは第一会議室へと移動した


後書き


次がいよいよ最終話です

最後の戦いに備えてのストーリーだったのですが・・・・・

本当にレイの心模様と違う普通のSS進行になってしまってます(^^;

まあ、許してください(笑

それでは




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