< ペルエヴァ第3話 病院へ行こう >






・・・ここは?・・・僕は・・・




「じゃあ、・・・・・も同じ・・・・を見てい・・言うのかい?」
「そうや。・・・モンやったか?多分、碇も今・・・なじ夢・・・・やないか?」
「俺もそう思う。後で・・・も聞いてみよう」


・・・誰かの声が聞こえる・・・誰だろう?・・・


「知らない天井だ・・・」


「おっ、碇、目が覚めたか?」
「相田、鈴原に渚君も・・・ここは?」
「保健室だよシンジ君。あの後葛城先生が僕たちの様子を見に来たらしいよ。それで僕らが気絶してるのを見つけて、慌てて此処に連れてきたって訳さ」


葛城ミサト先生、僕らのクラスの担任をしている英語教師だ。
物凄くちょっとだらしなくて、あまり教師らしくないキャラクターの人だけど、明るくて、美人で親しみ易い。
その上、生徒思いという事で(特に男子に)人気がある。


「他のみんなは空き教室ですぐ目が覚めたんだけど、碇だけ気絶したままだったんだぜ」
「そや、それでセンセが起きたら病院に行くことになっとるんや。もう女子は先に行っとるからワシらも急ごうや」
「病院?何で?」
「僕らが頭でも打ってないかって、葛城先生がいたく心配してねぇ。まあ集団で気絶してれば、仕方ないね」
「それで、念の為検査することになったのさ。赤木先生に診て貰うよりはいいだろう?」


赤木リツコ先生、ミサト先生とは昔からの友人らしい。
リツコ先生も美人だけどミサト先生と は違うタイプの美人だ。
クールビューティーって言うのかな?いつも冷静で、堅いイメージのある先生だ。
怒った時の厳しさと、髪を金髪に染めていることから"金髪の魔女"と呼ばれていて、毎年一人はリツコ先生の実験台にされているという噂だ。
念の為言っておくけど、リツコ先生は保健の先生ではなく科学の先生だ。


「・・・そうだね、病院へ行こう。すぐ準備するよ」

確かに、赤木先生に診て貰うのはかなり少し怖い。




幸い病院は学校のすぐ近くにある。
この学校のためにわざわざ作ったらしい。まあ、人の沢山集まる場所だから、間違ってはいないと思う。
でも市役所の前にある中央病院に較べるとやっぱり小さいからいつも混雑していて、順番を待たされることが多いらしいし、入院の為の施設はないに等しい。入院できるのは緊急患者だけらしく、それも一時的で病状が安定したらすぐに中央病院に移るらしい。




今回は学校から連絡がしてあるだろうから大丈夫だろうけど・・・それにしてもあの夢は何だったんだろう?やけにリアルな感じがしたけど。

「シンジ君?着いたよ」

考え事をしているうちに着いていたらしい。

「え?ああ、ごめん」
「碇、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。さあ、受付に行こうよ」
「せやな、はよ行かな、此処の病院は待ち時間かかるらしいしな」
「その点に関しては大丈夫、葛城先生が連絡したから待たされないはずだよ」
「ミサト先生じゃなくて日向先生の間違いじゃないの?」
「相田、それはちょっと酷くない?ミサト先生だって偶には先生らしいことするよ!」
「碇・・・お前も充分酷いぞ。でも看護婦さんの写真を撮るいい機会だな」
「・・・ケンスケ、病院ではやめとき」

まあ、でも相田が言ってることが正しいんだろうな・・・日向先生は普段からずぼらなミサト先生のサポートさせられてるし・・・。




日向マコト先生。
ミサト先生を好きみたいなんだけど、不幸なことにミサト先生はまったく気づくそぶりを見せないんだ。
多分、気づいてないのは学校中でミサト先生だけだってくらい分かり易いのに・・・報われない人だ。
それでも健気に尽くす姿に女子生徒からの人気が高いらしい・・・ってこれも相田から聞いたんだけど。







受付を済ませた僕らは、4階にある検査待合室に行った(この病院は敷地面積がない分、階数を増やしてある)。
そこには検査が終わったらしい委員長と惣流だけが居た。
霧島と山岸は一足先に学校へ報告しに戻ったらしい。
どうやら行き違いになったみたいだ。
僕は委員長に状況がどうなっているか聞くことにした。

「碇君、やっと目が覚めたのね?アスカと綾波さんが心配して、大変だったのよ」

そう言うと僕と惣流以外のみんなは笑い出した。

「だ、誰がシンジの心配なんかしたのよ!」
「それより、その綾波は?いないみたいだけど?」
「ファーストなら、まだ検査が終わってないわよ」

綾波はその苗字ゆえ、大体女子の出席番号1番になる為(今のクラスは青木さんがいる為2番 )、惣流は昔からこう呼ぶ。

「惣流ー、また綾波のことファーストって言うー」

僕が非難すると

「ウッサイわねー、別にいいでしょ!」

こうなのに、

「アスカ、駄目よ、友達のことそんな風に呼ぶのは」
「ヒカリ・・・悪かったわよ。気をつけるわ」

委員長には素直だ。

「綾波がまだ検査ということは少し待たされるのかな?」
「何よ、綾波、綾波って」
大丈夫よ、ちょっと質問するだけらしいから、すぐ来るわよ。ほら、綾波さん体弱いじゃない?」


そう、綾波は昔から身体が弱い。
アルビノって言って生まれつきのものらしく、今でも未だ免疫とかが普通の人より弱く、体質改善のために通院しているし、学校を休むこともある。それでも昔に較べればましになったんだと思う。
綾波とは一応小学校入学からの付き合いだけど、出会った頃は本当に身体が弱く、入退院の繰り返しで、出席日数もギリギリだった。
おかげで友達とかも出来ない状況になってしまって、まともに話せるのは僕を含め数人くらいだった。


そんなことを思い出しながら、話しているときだった・・・

グラッ

「ん?今何か揺れた?」
「地震、かな?」

・・・カタカタカタカタ・・・
ゴガッ!ガッシャン!!

「「キャー!!」」「ウワッ」「地震だ!!」「でかいぞ!」










「・・・・・・・・・・・・・治まった、かな?」
「どうやらそうみたいだねぇ。いや驚いたよ」
「みんな大丈夫?怪我はない?」
「おー、イインチョこっちは大丈夫や、相田も渚も平気や」
「こっちも大丈夫みたい」
「みんな無事か、って綾波!!綾波を見に行かないと!!」


綾波のことに気づいた途端、待合室から飛び出そうとした僕は顔面から壁に激突していた。
検査室につながっているはずのドアの先・・・そこには、白い壁があった。

「「シンジ(君)!」」 「「「碇(君)!」」」
「痛ててて、な、何だよこれ?何で壁があるんだよ?!」

僕の頭は混乱していた。
この待合室には廊下につながるドアと、検査室につながるドアの二つしかなかった筈だ。
それが何故壁があるのだろう?
それはみんな ―特に女子はさっき使ったばかりだ― が驚き疑問に思ったらしい。

「う、嘘でしょ?さっきは壁なんかじゃなかったわよ」

惣流の声が震えている。
何が起こっているのか彼女にもわからないらしい。

「一体、何がどーなってるの?」
「落ち着いて、洞木さん。みんなも。とにかくもう一つのドアから出よう」

渚君の言葉で我に帰ると近くに居た相田がドアを開けてみる。

「大丈夫、こっちはちゃんと廊下に出られるみたいだ・・・ん?何か変だな?」
「何が変なのよ?」
「やけに静かだし、・・人の気配がないんだよ。医者や看護婦さんも居ないみたいだ」

そういうと相田は外に出て行った。



「何だこれ!!」



相田の叫び声が聞こえてきたので僕たちも続いて待合室から外に出ると、そこにあったのは、さっきとは違った景色だった・・・








エンディングソング 「drive to MY WORLD」 by B'z(Album「LOOSE」収録)













「楽屋」

シンジ :お疲れ様で〜す。ペルエヴァ第3話でした。因みに今回の差し入れは暑いので加持さんが育てたスイカです!
アスカ :ちょっと!お疲れじゃないわよ!何なのよこれは?!
シンジ :え?何が?
アスカ :あたしの出番は全然ないし、何より、あのいきなりな展開は何よ!!
シンジ :出番がないのは仕方ないだろ?これから増えるだろうしさ
アスカ :じゃあ、あの展開は何よ!
ケンスケ:ああ、あれか。作者も初めて「ペルソナ」やったときは何の予備知識もなかったからかなり驚いたらしいよ。しかもかなり後半にならないと謎が明かされないし。まあここは読者の方には不思議に思ってもらいましょう
アスカ :・・・納得いかないけど、しょうがないか
カヲル :次回はついにペルソナ発動だからアスカ君が大活躍なんじゃないかな?
アスカ :そーね!次回は情けないシンジに代わって私が主役よ!
トウジ :しかし、3人減ったらセリフが増えたのう。ワシ間違えそうになってもうたわ。
ヒカリ :トウジ、しっかりセリフ覚えなさいよ!NG出したらお弁当あげないからね!
トウジ :そんな殺生な!
ケンスケ:相変わらずトウジは洞木に弱いな
カヲル :惚れた弱み、ってやつだね。いやいや、美しい光景だよ
シンジ :ん?やばいこの後レイとの約束があるんだ!みんな!他に言うことはない?
ケンスケ:ペルソナ、何になるんだろ?
アスカ :あーそれ私も気になる!
カヲル :そうだねえ、僕も気になるね。やはり美しいペルソナを希望するよ
シンジ :それは次回のお楽しみ!
ヒカリ :まだ台本が出来てないのね?
シンジ :まあ、そうとも言うね。それよりホントに時間がないんだよ。遅れるとレイめちゃくちゃ怒るし・・・
アスカ:まあここらで勘弁したげるわ!それじゃー次回も、

サービス!サービス!




後書き

今回は分量に関してはちょうどいいのではと思いますがどうでしょう?
ご意見ご感想を聞かせていただきたいです。
次回はシンジたちのペルソナが発動します・・・ただやっぱり、ペルソナを何にするかで迷ってます。
では次回でまた会いましょう。
読んでくれて本当にありがとうございます。




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