・・・待合室の外に出ると、そこはさっきと違う景色だった・・・












< ペルエヴァ第4話 何だよこれ! >







「何これ?」
「俺に聞かれてもわからないよ」
「誰もあんたになんか聞いてないわよ・・・」

・・・さすがの惣流も呆気に取られているみたいだ。

「とにかく、綾波を探さないと!」
「そうね・・・?!診察室のドアがないわ!」
「どういうことなの?」
「ありえないことだが、病院の構造が変わってしまっている」
「そんな!じゃあ綾波は何処にいるんだよ?!」
「碇、落ち着けよ。取り敢えず二手に分かれて探してみて、またここで情報交換しよう。碇、惣流、渚は向こうを、俺達はこっちを探してみる」
「よっしゃ、そうと決まったら急がへんとな」
「碇君、大丈夫綾波さんはすぐ見つかるわよ」
「・・・うん、そうだね」

そうは言ったものの、この時の僕はもしかしたらと言う不安で押し潰されそうだった。






「そっちはどうだった? こっちは何も無の行き止まりだったよ」
「(ケンスケたちの方は行き止まりか)」
「こっちは階段と扉が一つあった。エレベーターもあったけど作動していなかったよ」
「それやったら、取り敢えずその扉を調べてから階段やな」
「ああ、でもその階段だが、この階が最上階になってるんだよ」
「え、確かここは6階建てよね?」
「そして、僕たちが居たのは4階。・・まったく不思議だねぇ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「悩んでてもしようがないわ!それより、早く行くわよ!」











「いい?開けるわよ」

ガチャッ

惣流が開けた扉の先には今度はちゃんと部屋があった、ひどく荷物が散乱してはいたけど。

「今度はちゃんと部屋があったみたいね」
「あ、さっきの先生よ!」

そこには、この病院の、しかもさっき綾波たちを診察した初老の医者が倒れていた

「外傷はないし、気を失っているだけのようだね」
「でも、頭を打ってたりしたら・・・」
「それは、お手上げだね。僕らではどうに出来ないよ」
「あの、すいません!大丈夫ですか?」
「・・・・・・うん?ここは?それに君たちは?」
「良かった、無事のようだね」
「私達はさっき診て貰った壱中の生徒ですっ」
「ハッ、そうか、地震があって・・・何かが頭にぶつかって・・・気を失っていたらしいな」
「それより、先生、綾波はどうしたんですか?一緒だったんじゃないんですか?」
「綾波さん?いないのかね?何かあったのかね?」


そこで僕らは突然起こったこの不思議な現象を説明した・・・自分たちにも何が起こったのか分かっていなかったけど・・・


「ふ〜む、俄かには信じらない話だが・・・この場合は、残念ながら嘘ではないようだね。・・・綾波さんだが、すまないが私にもわからない。確かに地震があった時は一緒に居たはずだが・・・すまない、何もわからなくて」
「いえ、いいんです。それじゃあ、僕らは他の階を探索に行きます」
「そうか、その前に少し怪我をしているようだから、治療しよう。それと、消毒薬と包帯を持っていくといい、何かの役に立つだろう。私は取り敢えずこの部屋を使えるようにしないと・・・」
「ありがとうございます」
「綾波はどこに居るんだろう?」
「この病院の中におるのは間違いないやろ。しらみつぶしに探せばええだけや」

言外に『ウジウジ悩んどらんと、男やったら行動せんかい!』と言う、鈴原の声が聞こえてきた。

「・・・そうだね、鈴原の言う通り、ここで悩んでても仕方ないね」
「そや!治療も終わったみたいやし、行くで!」

僕たちはお礼をいってその部屋を出て、他の階へ行くことにした





「どうやら、この階も構造が変わっているみたいだね」
「ん?あそこのドアから人の声がするみたいだけど」
「何か、悲鳴みたいな声よね」
「悲鳴なんじゃないの?ほら、いきなりこんなことになってパニックになってるんだよ、きっと。行ってみよう」

でも、悲鳴の原因は相田の予想とは少し違うものだった。
パニックというのは当っていたけれど・・・


「ちょっと待って・・・ここって」
「何なのよこれは!?」
「人間?いや違うあれは一体?」



それは凄惨な光景だった。
辺りは血塗れで、何人かの人が部屋の隅に居る看護婦さんを囲んでいた。
そして、他にも何人かの人が居て、屈み込んで"何か"を食べていた・・・




「この、部屋・・・・・・霊安室、だわ・・・」
「ほな、これは・・・死体か?」
「人・・・を食べてる?」
「げっ、こっちにも来るぞ!」

それは僕らに気づいたらしく、看護婦さんを無視して僕らの方にやって来た
そしてそれを見た僕らははっきりと気づいた。
此処は霊安室で・・・看護婦さんを襲っているのは元人間・・・
つまり・・・死体だということに

「・・・死体が、動いてる?」

驚いている間に囲まれてしまった

「くそ!こうなったらやったる!」
「鈴原!!無茶よ!」
「いや、大丈夫、動きが遅い。それより、洞木さん、惣流君下がって!」
「オリャ!これでもくらわんかい!」

鈴原と渚君が殴りかかったけど効いていないみたいだった

「くそっ!こいつらやたら固いで!」
「死後硬直って奴かな?・・素手じゃ無理みたいだね」
「っていうか一度死んでるのにどうすればいいんだよっっ?」
「うわぁぁっ!!」
「「碇っ!!」」 「シンジ君っ!!」

僕は迫って来た死体に囲まれてしまって、その冷たい手で殴られて・・・
痛みとショックで混乱した僕の頭の中に声が響いてきた・・・






・・・汝、我を求めよ・・・力を・・・






そして僕は夢中でその声にすがり、叫んでいた

「何でもいいから、僕を助けてよ!!」

そして叫んだ瞬間、、、




『・・我は汝・・汝は我・・汝が望みに応じて力を与えん・・我が名は・・愛染明王』



『ハンマ』





僕の体の周りが光って、声が聞こえてきた。
そして、その声と共に目の前の死体が1体光に包まれて消えてしまった。

「何だよこれっ!!?」 「何よこれっ!!」

僕と惣流が叫ぶのは同時だった。

「・・・死体が消えた?」
「何やよー分からんが、碇!そのままいてもうたれ!!」

そんなこと言われても、僕はショックで口も利けない状態だった。
そして、僕が驚き硬直しているうちに、今度は渚君の前に死体が迫っていた。

「渚!危ない!」
「くっ!僕にも出ろっ!!」


『・・我は汝・・汝は我・・汝の求めに答えん・・・我が名は・・青面金剛』


『ガル』




渚君が叫んだ次の瞬間、渚君にも僕と同じことが起こった。
但し、今度は死体は消えずに、光の風によってズタズタに切り裂かれていた。
もう何が起こっているのか、僕には理解不能で、混乱は絶頂に達していた。

・・・残る死体は、あと3体・・・

僕らは2体減ったことで油断もあったけど、何より、驚きで固まってしまっていた
そのせいで、鈴原が死体に殴られて部屋の壁に叩きつけられた
その動きはやけにスローモーションに見えた・・・

「キャーーイヤーー鈴原っーーーー!!!」


『我は汝・・汝は我・・我が名はマソ』




「何でもいいからっ鈴原を助けてっ!!」


『汝の望むままに・・・ブフ!』




今度は氷の飛礫によって死体はグチャグチャだった。


「トウジっ!大丈夫か?しっかりしろ!」
「大丈夫や、ちいとばかし効いたけどな。おりゃー!遣られっ放しやないでーっ!!」


『我は汝・・汝は我・・力を与えよう・・我が名はオグン』




今までは光が死体に向かっていったけど、鈴原の場合は背後に見える影のような何かがそのまま死体に向かって体当たりをしたんだ。
死体は弾き飛ばされて動かなくなった。

・・・残るは1体・・・


「何なのよ?一体・・・・・・」
「これが何か考えるより、残りの1体を片付けるのが先決だね」
「くっ、バカシンジやジャージに出来るんだったらあたしにも出来ない筈はないわっ!!何だかわかんないけど、あたしにも力貸しなさいよっ!!」


『我は汝・・汝は我・・汝の心の形・・我が名はヴェスタ・・』


『フレイ』



今度は何て言えばいいんだろう、どこかで見た現象なんだけど・・・

「核融合?」

あっ、そうそう、核融合だ

「って、ええええええええーーー核融合って、渚君!!」
「いや、僕に言われてもそう見えただけだからね。何とも言えないよシンジ君」
「そ、そうだよね・・・でも一体なんだったの?今のは?」
「そんなことより、看護婦さん!大丈夫ですかっ?」

こういうとき、冷静な相田と渚君は頼りになる。
僕も委員長も惣流も呆気に取られて呆然としていたし、鈴原はやっぱりさっき殴られたのが効いてるみたいだ。



「心霊現象に巻き込まれて集団で気絶するわ、病院に来て地震が起こったと思ったら、建物の構造が変わってるわ、死体が動いてるわ、頭の中で声が聞こえたと思ったら・・・変なのが出てきて死体をやっつけちゃうわ・・・今日はもう、これ以上何が起きても驚かないわ・・・」
「・・・そうね、アスカ・・・私もそう思う」

でも、この後さらに僕たちを驚かすことが待ってたんだ・・・





「相田君、ここじゃ何だから、ひとまず部屋の外に出ようか」
「そうだな、看護婦さん立てますか?」
「え、ええ」

それで、僕達は霊安室を出て、ここでやっと少しだけ落ち着くことが出来たんだ。
幸い、小林と言う若い看護婦さんには怪我もなかったみたいので、知ってることを聞きだすことにした。

「落ち着きましたか?看護婦さん」

渚君の言葉には不思議と説得力と言うか、強制力と言うか、抗い難いものがある。
渚君の持つ不思議な雰囲気のせいなんだろうか?
良くは分からないけど、こういう場面では役に立つことは確かだった。
おかげで看護婦さんもすぐに落ち着いて僕たちの質問に答えてくれたし。

「ええ、あなたたちは?壱中の生徒さんみたいだけど・・・」
「はい、たまたま診察に来てて・・・」

渚君は、取り敢えず看護婦さんを助けるまでのことをかいつまんで話した。

「そう、私は地震が起きた時、霊安室にいたの。地震が治まったと思ったら・・・その、仏様が動き出して・・・後は・・・あなたたちに助けてもらったのね・・・でも!どうやって助けてくれたの?」
「え?その見てなかったんですか?」
「必死で、もう、そんな余裕なかったわ・・・」

それはそうだろうと思う。
僕たちだってもう、無我夢中で何が起きたのか分からないうちに死体をやっつけてたんだし・・・
そもそも、やっつけたと言ってもこっちには自覚が全くないし・・・
それに、死体(ゾンビって言ったほうがいいのかな?)も元は人間だという事を考えると、何だかやるせない気分だった。

「そうですね・・分かりました。この上の階の部屋に先生がいたのでそちらに向かってください。僕達は下に行って見ます」
「でも、危ないわ!子供たちだけで・・」
「大丈夫、何とかなりますよ。現にさっきも貴女を助けたでしょう?」
「そうね・・・わかったわ。それじゃあ、気をつけて、無理をしないでね」
「ええ、分かりました」

やっぱりショックは大きいみたいで、看護婦さんも思考が停まってるみたいだった。
おかげで、普通なら絶対止められるし、あれこれ聞かれるところを何も聞かれず、僕達は助かった。
まあ、話してるのが渚君、と言うのも大きいんだろうけど・・・

「さて、と・・・この階にはもう何もないみたいだね。下の階へ行こうか」
「それよりもまず、さっきのは何よ?!そっちの方が重要でしょ!?」
「そうだな、さっきの現象について、少しでもわからないとまた死体か何かに襲われたら・・・」
「大丈夫やろ?霊安室の分は全部いてもうたんやし」
「そうとは言えないだろ、もう何が起こっても不思議じゃなくなってるんだぜ」
「それも、そうやな〜」
「でも、綾波を探すのも早くしないと!それこそ、綾波が襲われでもしたらっ!」
「ムッ、でも、今のわけの分からないままじゃ助けられないでしょっ!!」
「それは、そうだけど・・・」
「何よ?文句でもあるの?」
「アスカ、やめなさいよ。話しながら行きましょうよ」
「そうだな、どの道答えが出ると決まってるわけじゃないからな、ここに留まってても仕方がないな」
「・・・まあ、いいわ。行きましょっ!」

「全く惣流は・・・」
「ハァ、アスカも大変ね」
「何が?」
「何でもないわ」



この時の僕には洞木さんが何を言ってるのかさっぱり分からなかったけど、後に激しい後悔と共にこの言葉の持つ意味を実感させられることになるとは思いもしなかった・・・









「それにしても不思議な現象だったな」
「そうね、わけがわからなくて怖いわ」
「まあ、別に害になるっちゅうもんでもないやろ?心配せんとき委員長!」
「鈴原・・・ありがとう」

不器用なところもあるけど、鈴原は誰にでも優しい。
特に女子供、弱いものには。
だから、小学校で苛められている綾波を見て助けてくれて、それまで僕と惣流しか話せなかった綾波の新しい友達になれたんだ。
勿論、同時に相田と委員長も友達になったんだけど、きっかけを作ったのは鈴原の優しさだった。



僕達は話しながら2階を探索していた。

「でも、まるでゲームか何かみたいだな」
「そうだね・・全くこんなことが現実に起こるとはね」
「起こってしまったことはしょうがないけど、あたしたちに起きたあの現象は何よ?誰か説明して欲しいわ!」
「ああ、あれはきっと・・・」
「説明しましょうか?」


「「「「「「ええっ??」」」」」」

それは確かに聞き覚えのある声だった・・・
そして、振り返ったその先にいた人は、僕らを驚かすには充分だった・・・







エンディングソング 「ZERO」 by B'z(SINGLE「ZERO」収録)











「楽屋」

シンジ :お疲れ様でした〜ペルエヴァ4話をお送りしましたっ!!
アスカ :本当、謎だらけでイライラする展開ねっ!
ケンスケ:まあまあ、これから徐々に分かるさ
ヒカリ :そうよ、まだ4話よ。ここで分かっちゃったら逆に面白くないわよ
アスカ :ふん!まあそういうことにしといてあげるわ!
ケンスケ:それよりも何で俺だけペルソナが発動しないんだぁぁぁぁ!!

全員  :ケンスケだからでしょ?

ケンスケ:何故だぁぁぁぁ!!

カヲル :それはさておき、最後の声が気になるね
ヒカリ :まあ、それは読者さんも大体想像ついてるでしょうけどね
シンジ :今日の差し入れはザッハトルテだよ
ヒカリ :へえ〜いいわね〜
アスカ :あのバカ作者、何でこんなものばかり詳しいのかしら?
トウジ :何やそれは?
アスカ :あんた、今まで話に参加してなかった癖に食べ物には反応するのね
トウジ :やかましいっ!!別にええやろっっ!
シンジ :トウジ、これはウィーンの有名なチョコレートケーキだよ
トウジ :へえ〜、ウィーンのな〜
アスカ :あんた、ウィーンが何だか分かってないでしょ?
トウジ :そんなことないでっ!ウィーンちゅうのはなぁ、ケーキ屋の名前やろ?
ケンスケ:ウィーンはオーストリアの首都だよ
トウジ :そんなん知っとったわ!ボケやボケ!
カヲル :(ハァ)次回は作中で「ペルソナ」について説明するらしいね
シンジ :うん、そうなんだ。結構「ペルソナ」を知らない人が多くてね
カヲル :次回が説明だけで終わらないことを祈るよ
ヒカリ :そういえば、それとは別に「ペルソナ」の説明を作るみたいよ
アスカ :それじゃあ次回もサービス!サービス!!


ケンスケ:俺にもペルソナを〜〜〜!!!!










後書き

ども、綾吉です。
予告よりも早かったですね。
掲示板に載ってた感想のおかげですね。
次回は大体「楽屋」で言ってた通りですが、5話より先にゲームとしての「ペルソナ」の説明をアップするか、同時にするか、しばらく待つかで悩んでます。
さて、次からは学校が始まるのでちょっと更新が遅くなりますが、出来るだけ頑張りますね。
こんな小説でも最後まで読んでくれてありがとうございます。
出来れば、感想をメールか掲示板にでも書いてくれるととっても嬉しくてやる気もアップします。




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