思春期だね碇君!!

0403 0408 0410  0411 0417 0630  0701
040403



  戦い終わって日が暮れて・・・・・

  勝てば官軍、負ければ悲惨な罰ゲーム(注1)

  今日も今日とて夜空に輝く死兆星(注2)

  明日は明日の風が吹く

  勝って来るぞと勇ましく

  男が一旦家を出たらば 目の前には7人のナナ(注3)

  祇園精舎の鐘の音 盛者必衰の理を示してるかもしんない(注4)

  夏草や 愚かな者が 夢の痕(注5)

  尚、死して屍拾う者無し(注6)



 注1 ラムネ&40。
 注2 北斗七星の横に輝く星。見える人が限定されている。
     通常見えないほうが良い・・・というより見えるとヤバイ。
 注3 そのまんまだけど、元ネタを知りません(^^;
 注4 『信長の野望−乱世記』において捕虜を打ち首にするとよく語ってくれます。
 注5 松尾芭蕉の俳句を改造。
 注6 隠密同心その心得。

TOPへ

040408


 馬の嘶きと兵士の怒号が響き渡る城内を走っていた。
 一体何人の敵を相手にしたのだろうか? 青年の身体は血塗れで鎧も部分的にしか残っておらず、そのかろうじて形を残す部分も無数に切りつけられた痕が残り、右手に持つ剣さえも刃毀れが酷くもう役には立ちそうになかったが、そんな状態でも茶色がかった黒い瞳だけは光を失っていなかった。
 やっと16になり騎士として叙任されたばかりの−まだ幼さの残る顔には必死の決意が浮かんでいる。彼には為すべき事がまだ残されているからだ。例え城が陥落し国を失ったとしても、己の全てをかけて護らなくてはならない。それは、彼が捨て子としてこの城に住み込みで働く馬飼いに拾われたときから大いなる存在によって決められた運命であり、彼自身が自分に課した絶対の命題でもあった。

 レイ=ウェーブルー=クリムゾン。気高く、優しきウェーブルー王国の王女。

 彼は城に住む極少数のレイと同じ年代の子供として少年時代を過ごした。一方のレイだが、子供の頃のレイは好奇心旺盛で城の中を何処でも行き来する少女で、姫に仕える侍女や城に勤める者たちは大変ではあったがレイに仕えることを誇りに思い、この国に住む全ての者がレイを愛しその幸せを祈る、そんな恵まれた環境で育った。
 二人の出会いもレイが城の中を探検している時だった。馬小屋に迷い込んだレイは自分と同じくらいの歳の男の子を生まれて初めて目にする。それがシンジだった。初めて見る男の子にちょっと戸惑い恐怖を覚えたが、数秒後には恋に落ちた。勿論、その時にはそんなはっきりとした意識ではなかったが、後に成長してそのことに気付くようになる。あの時のシンジの笑顔は他の誰にも真似できない優しい笑顔だったとレイは親友のアスカに洩らす。
 シンジの方は目の前の少女が王女だなどと気づく筈もなく、これまた初めて見る自分と同じ年代の女の子に興奮していた。何故ならその突然目の前に現れた女の子は飛びっきり可愛かったからだ。その後二人はすぐに仲良くなりシンジの育ての親である馬飼いに見つかるまで心行くまで遊んでいた。もっともシンジは養父に、レイは侍女にこっぴどく怒られたのだが。
 その次の日もレイは現れ、シンジを騎士にすると言った。騎士となって自分を守って欲しい、と。シンジは誓った、騎士になりレイを護る、と。そして子供心に目の前にいる儚くも美しい姫を何があっても護るのだと自分に言い聞かせ、神に誓った。この日、一人の騎士が誕生する。それを知るのはレイとシンジ、そして木の陰からこっそり覗いていた侍女の3人だけ。

 成長したシンジは、レイの願いにより正式な騎士となることが出来たが周囲は貴族や王族、それに騎士の子弟ばかりでシンジのような馬飼いの息子は白い目で見られ、誰もが冷たく扱った。通常、騎士は家名を持つことが許されるが、シンジだけは許されずシンジはただ一人家名を持たない騎士となる。公平で心優しき名君の誉れ高い王も、いやそれゆえにレイの後押しで無理矢理騎士となったシンジをかばうことが出来ず、他の騎士たちの不平を宥める為取った措置だった。


 それでもシンジは幸せだった。
 騎士という厳しい現実もレイのことを想えば全く気にならなかった。
 彼の夢が叶ったのだから。
 想いが叶うことはなくとも、少なくともレイに誓った夢だけは叶えられたのだから。

 それに騎士に与えられる給金は馬飼いの数倍で、彼は養父母に対して恩返しをすることが出来たと喜んだ。シンジもレイもまだまだ現実を知らず夢を追いかけることしか見えない子供のままだった。

 幸せな日々も長くは続かない。夢の時間は無残にも打ち破られる。隣国に攻められたウェーブルーは戦地となる。長い平和に慣れきったウェーブルーの軍隊はあっけなく敗れ去り敵は城まで押し寄せてきた。2日間の激戦の末、遂に城門は破られ城内に敵が雪崩れ込んだ。シンジはそれを迎え撃つべく闘ったが、所詮騎士になりたての若造には形成を逆転するような奇蹟を起こすことは出来なかった。ただ日々続けてきた厳しい鍛錬のおかげでかろうじて自分だけは生き延びることは出来たが、数少ない友人たち、養い親すらどうなったのかわからない。
 城内ではまだあちこちで戦いが続いている。王を守る為の近衛騎士団が最後の抵抗を繰り広げているからだ。城の奥のレイとシンジしか知らない秘密の場所へとシンジは走っていた。レイから贈られた特注の鎧と楯のおかげで致命傷こそなかったが、身体は傷だらけで食事も2日間で摂ったのは水だけ、初めて体験する戦に興奮して何とかもっていたが、実際には極限状態である。誰もいない通路を一人移動していると忘れていた疲労や痛みを思い出す。傷や疲労を一瞬で癒す魔法など存在しない。走ろうとしても身体は言うことを聞いてくれない、最早剣を持つ手にも力が入らず正直歩くこともおぼつかないような状態なのだがシンジは気力だけでレイの元へ向かっていた。
 城には通常王族だけが知る秘密裏に外へと逃げ出す通路が作られている。だが、ここは長い平和(とき)の中で忘れ去られ、レイとシンジだけが知る通路だった。その隠し通路のある隠し扉の前まで来ると、シンジは遂に力尽き倒れた。幼き日の、自分を見てはにかんだような笑顔を浮かべるレイの姿を思い出しながら、その意識は闇に沈んでいった・・・・・・・





 「レイっ!!!」














 「・・・・・・・夢、か・・・・・・」






 「でも夢でも可愛かったな〜綾波。やっぱり綾波って『お姫様』、って感じだよね〜」
 「・・・・・・シンジ」
 「ってうわっ!! と、父さん! 何してるのさっ!?」
 「お前の部屋から何か聞こえてきてな、何事かと思い様子を見にきたら、寝言を言いながら魘されていたから起こしてやろうと思ったのだ。父に感謝しろ。」
 それって父さんがいたから魘されたんじゃ? とは言えず、それ以上に気になることを聞いてみた。
 「・・・・寝言?」
 「ああ」
 「何か喋ってた?」
 「色々とな(ニヤリ)」
 そのゲンドウスマイルは薄暗い部屋の中でも嫌にはっきりと見えた。
 「と、と、父さん?」
 「シンジ、明日は高福屋で豆大福を買って来い」
 「お金は?」
 「無論、お前持ちだ」
 「・・・・・そんな・・・・・・」
 シンジは月初めにいきなり財布が空になるにも痛かったが、それ以上にゲンドウに弱みを握られてしまったことに酷く恐怖するのだった。

TOPへ

040410





 血と硝煙、そして煙草。身に纏うことの出来る香り(コロン)はたったの3種類しかない。誰もが嫌でもその香りに身を包まれる。始めは嫌悪感を示すがじきに慣れる−いや慣れるというよりは諦め、受け入れるという方が正しいのかもしれない。日が経つにつれ次第に鈍感になっていくのだ。最後にはその危険な香りがないと生きていくことが出来ないようになる者もいる。だが、ここではその香りに敏感でなくては生きていけないことも現実(じじつ)だ。

 そう、戦場(ここ)では・・・・・・

 鬱蒼とした密林を這いずり回りゲリラを探し出す。だが敵はゲリラだけではない。毒蛇に、害虫、蠍、細かく挙げればキリがないが、一言でいってしまえばこの密林そのものだ。気候も水も何もかもが礼儀を知らない侵入者を拒む。
 だがゲリラは違う。この密林こそが彼らの家なのだ。彼らには本来森のもたらす恵みを与え、自分たちにくれるのは危険だけだ。それも常に最悪のものをくれる。「不公平じゃないか」と呟いてもこちらの意見など全く受け入れてはくれない。その呟きを耳にした誰かが吐き捨てるように言う、「この国の言葉じゃないと理解できないんだろうぜ」。面白くもなんともないくだらないジョーク。言った本人すらしかめ面を崩さない。
 ここに来て3日も経てば「何故自分はこんなところにいるのだ」と疑問に思う。そしてすぐに単純極まりない答えが返って来る、仕事だからだ。他人の国に無理矢理押しかけ自分勝手な正義を振りかざし、そして、人を殺す。それが仕事だ。人を殺して給料を貰う。罪に問われるどころか殺せば殺すほど賞賛され昇進も出来る。だが、そんなものは幻覚だ。ここでは金も、名誉を現し他人からの賞賛を浴びるべき勲章も何の役にも立たない。寧ろ、飾りが増えれば増えるほど死の確率は高くなる。目立つものほど狙われる。自然界の掟は人間にも適用される。ここでは人間も獣だ。牙の代りに銃を持ち、爪の代りにナイフを持つ。
 そして5日目で帰りたくなり、7日目には全てを諦め考えることを辞める。

 7日間、生き残ることが出来れば、だ。

 ここに配属されるのは、大抵が貧乏くじを引いた新兵だ。家族もいない、金もない、学歴なんかもっての他だ。あるのは自分の身体だけ。まともな仕事にありつくことも出来ず、生きる為に仕方なくここを選ばされる。7日間を過ぎると、生きる為に殺す。そんな単純なことに気付き人であることを辞め獣に戻る者が出始める。人のままでいられない、かといって獣にもなれない、そんな脆弱な、目の前に突きつけられた矛盾に苦悩し負けた者から麻薬(くすり)に手を出す。そして人の形をしたものになっていく。
 もう、2ヶ月か。毎朝毎晩神様に祈っても、こんな所じゃ神様だって見えやしないだろうな。それに所詮は自業自得だしな。殺そうとするから殺される、ただそれだけのことだ。でも、もう俺はそんな世界じゃないと生きられない。何でこんなことになっちまったんだろうな。従軍カメラマンとして戦争の悲劇を世界に伝える為にアイツを捨ててまでここに来た筈なのに・・・・カメラじゃ身を守れない、か。ファインダーを覗いても悲劇なんか見えやしない、あるのは死とそれに逆らおうとする本能だけだ。結局俺はカメラを捨てて銃を持つことを選んだ。だからこそこうして今日も眠ることが出来る。
 ・・・・・・・・ヒトヲコロシタダイショウトシテ・・・・・・・・・・・・・







「・・・・・・ん?・・・・・夢か・・・・・・・」
枕元にあるデジタル時計は2時を示していた。確か寝たのは1時近く・・・。
「今日は、色々あったからなぁ〜。こんな夢もみるか」
確かに新学期が始まってから3日。何も起こらない日はなかったが今日のは極めつけといえるような気がする。その一方でこれからまだまだ凄いことになりそうな予感もしている。どちらを望んでいるのか自分でもわからない。まるで夢の中の自分だ。くだらない考えが脳をよぎる。もしかしたら、今この瞬間こそが夢であの密林こそが現実なのではないかと。

「バカらし。寝よう」


TOPへ

040411




 「シンジ〜? 何よう、こんなところに呼び出してぇ〜。その気になればいつでも二人っきりになれるじゃな〜い?」
 そこは古いビル。誰も来ない廃ビルだ。気弱で恥ずかしがりやな少年は人前に出ることを苦手としていたので理解できるが、それでも何故? と思うがそれ以上に誰もいない場所に二人きりというシチュエーションに期待してしまう。今時ケータイも使わず手紙で呼び出すなんて古風を通り越して前時代の遺物のようだが、彼がそういったアナログを好むのも知っている。本人は気付いていないがかなり頑固なこだわりだ。それに対していつも苦笑しながら従ってしまう自分がいる。強がってみせても自分は彼に支配されていると自覚している。彼は自分がいなくても平気だろうが自分は彼がいないと駄目だ。幸いなことに今までは邪魔するものは現れなかった。
 だが今は違う。彼と自分との絆を断ち切らんとする存在がいる。情けないことに自分には彼を失わないためにしがみ付く以外に出来ることはない。彼に惹かれれば惹かれるほど弱くなっていく自分を自覚できる。悲しいほどに・・・・・・・・











 「なんて訳ないでしょっ!! 例え夢でも私がシンジを好きだなんてありえないわっ!!!」




 流石SAL・・・恐るべし本能精神力で夢落ちを台無しにしてくれる(爆)
 アスカが叫んだ瞬間、ビルの中から綾波レイが現れる。しかも一人ではない。後から後から出て来るのだ。おまけに全員無表情。一部のアヤナミストは喜ぶかもしれないが普通の人はきっと恐いと思う光景だ。SALといえどもアスカの時はそれなりに一般人と同じような感覚も持ち合わせている。主に猫を被って見栄を張る為にだが(爆) その場から後ずさり逃げ出そうとするが既に周囲はレイに囲まれている。夢なので何でもありだし(笑) アスカが喋ろうとした瞬間、レイがニヤリとゲンドウスマイルを浮かべる。この無数のレイによるゲンドウスマイル・・・・ビッグ・バンに匹敵するほどの威力だ。それでも夢なので意識も失わないし、残念なことに現実世界に覚醒することもなく、そのダメージをまともに受けてしまうアスカ。もしこれが仮に現実だとしたらアスカは廃人通り越して非科学的な現象を起こして塵になっていただろう。現実にはありえないような気がするので大丈夫だとは思うが・・・・リツコの存在が恐ろしい(爆)
 レイのゲンドウスマイルによるダメージにより動くことの出来ないアスカに更にレイの大群が迫ってくる。なんと! こともあろうに服を脱ぎだしたではないかっ!! よく見れば僅かに口が動いている。アスカには読唇術など出来ないが何故かわかった。

 「私と一つになりましょう? それは、とても、とても気持ちいいことなのよ・・・・」



 アスカが隣近所両隣3軒分に響き渡る絶叫と共に起きたのは6時だった。夢の内容についてはアスカしか知らない・・・・・

TOPへ

040417




 黒いジャージを着た少年の目の前のテーブルには湯気を立てた料理が所狭しと並べられている。和洋中華各種取り揃えた料理ではあるが、しっかり味噌汁と白いご飯が置いてあるのは日本人ならではの心だろう。そして、味噌汁とご飯が日本人の心ならばその隣にある、たこ焼きとお好み焼き、すうどんは関西人の魂とも言うべきか。(注1)

 黒いジャージの少年こと鈴原トウジは流石に作ってくれた人に悪いと思うのか、それとも単にあまりの量に慄いたのかいつもなら猛然と食べ始めている筈なのに行儀よく座ったままだ。多分後者だと思う。何故なら、料理はまだまだ続々と出てくるからだ。運んでくるのは彼の親友、シンジとケンスケだ。一流ホテルのフロントでも通用するような素晴らしい営業スマイルを浮べて料理を持ってくるたびに意味ありげな視線を投げかけてくる。
 『何が言いたいんや?』 そう問いかけたくても二人はトウジに声をかける隙を与えず、料理をテーブルに置くとさっさと厨房へと次の料理を取りに戻っていってしまう。段々といい知れぬいやな予感が不安へと変わりやがて恐怖へと変化してゆく。料理を−それもこんなにも豪華で美味しそうな料理を食べてもいいというのに、それを恐いと思ったのは生まれて初めてだ。そう思ううちにも料理は際限なく増えてゆく。
 と、そこへ本日のシェフであるヒカリがやってきた。基本は洋風の厨房着だが、女性らしさを演出する為細かなところでアレンジが加えられている。コック帽の代りに少し薄目の赤いバンダナを巻き、スカーフとエプロンもお揃いの赤で統一している。料理を作る以上当然アクセサリーも出来ないしお化粧などもっての他だ。その為こういう細かいところでおしゃれをするしかないのだ。なんと健気な乙女心か。

 ヒカリのシェフ姿は実に可憐だった。控えめな、少女の可愛らしさの中にも凛とした緊張感があり、それが女性特有の優しく包み込むような力強さを感じさせるのだ。ヒカリの笑顔からは料理とそれを食べる者への愛情が惜しみなく降り注いでいる。それを見れば料理が数倍、いや数十倍にも美味しく感じられる筈だ。
 「沢山食べてね、鈴原(はぁと)」
 「あ、あのな委員長」
 「まだまだあるから遠慮しないで一杯食べてね(はぁと)」
 ヒカリの飛びきりの笑顔の前にトウジ轟沈。覚悟を決め勢いよく料理に取り付く。
 が、所詮は無駄な抵抗だった。最初こそ快調に料理を平らげていたが、10分も経つともう満腹となり折角の料理の味もわからずただ口に押し込むだけとなり、20分を過ぎた頃には最早筆舌に現しがたい地獄絵図となっていた。
 それでも料理が止まる気配はいっこうに見えず、せわしなくシンジとケンスケが訪れる度に新しい皿の数が増えてゆく。時折、ヒカリも現れるが笑顔で『沢山食べてね鈴原(はぁと)』とだけ言うとトウジに何も言わせず、また新たな料理を作る為厨房へと戻ってしまうのだった。
 この料理を食べる以外に道はないのだと思い知らされたとき、意識が遠のいていった・・・・



 「・・・・・・・・知らへん天井や」
 「大丈夫?」
 気がつくと若くてボンキュッボンのしぇくしぃナースが傍らに立っていた。
 「ここは?」
 「病院よ」
 というかどう見てもナースには見えないのだが病院にいて白衣+ナースキャップを装備しているのだからきっとそうなのだろうとトウジは自分に言い聞かせた。
 「病院?・・・・・・・・あ」
 どうやら昼間の出来事を思い出したらしい。だが隣のしぇくしぃナースにはわからなかったらしく、どうかしたの? とトウジの顔を覗き込んでくる。突然視界に飛び込んできた巨乳にだらしなく鼻の下を伸ばすトウジ。こんなところをヒカリに見られたら今度こそ病院を通り越して一気に地獄逝き決定だろう。



 因みにこの光景をしっかり録画している少年がいた(爆)



注1 いや、私は本当かどうか知りませんがね。因みに茨城人の魂はやっぱり納豆だそうです(実話)

TOPへ

040630

 一体全体、昼休みに何があったのだろう?

 話は昼休み、ヒカリが阿修羅となり、シンジが殺意の波動に目覚めたところへみんなの勇者相田ケンスケ13歳が捨て身の特攻をかけたところまで遡る。(注1)

 思い出していただけただろうか? 我らが相田ケンスケ(13歳彼女なし)の勇姿をっ!!(注2)

 からくも爆発寸前の時限爆弾を止める事に成功したケンスケだったが、依然としてヒカリの背中には4本の腕がくっきりはっきり見えているし、シンジからは殺意の代りに嫉妬パワーが溢れ出している。まあ、シンジのほうは先程撮影に成功したブツを渡せば何とかなるだろう。問題はヒカリだ。どうやら、レイはヒカリのなかで『ヒカリからトウジを奪いとるライバル』として認識されたらしく、『標的』としてロックオンされたままである。つまりこれは、レイがヒカリの近くにいる限り阿修羅モードが解除されないという事実を指している。危険、そうまさしく危険な状態だ。これ以上に危険な状態など滅多にないだろうというくらい危険である。ほんの僅かな刺激で簡単に爆発する爆弾が、学校にいる限り常にすぐ傍にあるのだからして。しかもその破壊力は自動成長能力が組み込まれている、今なら確実にN2クラスの効果を発揮してくれるだろう。万が一爆発させてしまえば必ずや被害はトウジのみならず周囲にも及ぶ筈である。それだけは避けたい。心の底から願うケンスケ、カヲル、アスカだった。(注3)
 そんな願いを神様が叶えてくれたのか、それ以降、場は沈黙を保ったまま食事が終了したのである。何とか無事に生きている事に安堵し、神に感謝する3人。


 だがしかし、その一瞬を神は見逃さなかった(爆)


 ほんの僅かな心の緩みが招いた魔のロスタイム。食事終了、さあ、教室に戻ろうかと言うところで、恐らく足が痺れていたのだろう立ち上がろうとしたトウジがよろけてレイの方に倒れてしまったのである。


 神は無慈悲だった(爆死)


 その姿は誰がどう見ても『膝枕』である。あの!!『膝枕』である!! 天学、彼女が出来たらしてもらいたことランキング堂々の7位に位置する『膝枕』である。(注4)

 『THE WORLD』 時は停まる(注5)

 次の瞬間、レイ以外は全員、そう全員耳を手で塞いでいた。(注6)同時にヒカリの絶叫が響き渡る。その叫びは天学全体に届いたという・・・。そして中学では校舎のガラスが割れたとか割れてないとか。  そしてそのままヒカリは阿修羅となり『真・阿修羅光無双乱舞』を超える超秘奥義『阿修羅ジェノサイド』を発動させていた。勿論標的はトウジだ。
 後に、シンジ、カヲル、ケンスケ、アスカは異口同音に語る。
 「「「「本当にスローモーションで動くんですよ。頭の処理速度が追いつかないっていうか・・生まれて初めての体験です。ってもうこんな体験したくありませんけどね」」」」
 そして、気付いたときにはトウジはボロ雑巾の如く、レイは最初の絶叫で、ヒカリは力を使い果たして気絶している状態になっていた。勿論、トウジはそのまま病院送り。レイはシンジが、ヒカリはアスカが保健室へと運ぶはめになった。


 これによりシンジの壊れ具合がさらに進んだのは言うまでもない。



注1 って言うか作者も忘れていたので読み返してみたらそこで話が飛んでいたのである(爆死)
注2 いやぁ、マジでケンスケにも彼女を作ってあげたいんですがね(;^^)
注3 勿論、2年A組の皆も願っている(笑)
注4 因みに作者にはこんな趣味はない。本当だよーw
注5 『JoJoの奇妙な冒険』第3部より。「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!!!」と叫ばれてしまうので注意w
注6 ヒカリもですよ〜

TOPへ

040701

 昼休みだからだろうか? 保健室には生憎と誰もいなかったので勝手にベッドを使う事にした。 (注1)
 二つ並んだベッドに2人を並んで寝かせて毛布を掛ければあとはすることもないので教室に戻れば良い筈なのだが、シンジはそのまま椅子を運んできてレイの顔を眺める。アスカはと言うと付き合ってられないとばかりに何も言わずにとっとと教室に戻る事にした。
 救急車の音が聞こえ、ヒカリが僅かに反応するがレイはピクリともしない。しばらくして、救急車の音が遠ざかると保健室はまたもとの静寂を取り戻す。ただ、レイを見つめるシンジの表情だけがころころと変わるだけでレイにもヒカリにも変化は見受けられない。

 さて、静かな保健室とは対照的に校内はちょっとした騒ぎになっていた。校舎全体に響き渡る絶叫が聞こえてきたかと思えば、ボロボロのトウジが発見され救急車を呼ぶはめになったのだから、そりゃあ騒ぎにもなるなる。因みに保険医を呼びに来た眼鏡の男子生徒はいつの間にか姿を消していた。もっとも保険医には顔の区別がつかず、名前もわからない状態でも担任であるミサトは「トウジボロボロ、眼鏡の男子生徒」→「相田ケンスケ」と2秒で正解をはじき出すし、2−Aの生徒一同も「トウジボロボロ」のキーワードだけで屋上で何が起こったのかを瞬時に理解する。そしてそのまま納得してしまう(爆)
 普通は大騒ぎになる筈なのだが・・・この学校、何気に教師もちょっとばかりズレているうえ、この程度の事件など日常茶飯事に近い頻度で起こるため感覚が麻痺しこの程度では問題にならないのである(爆)打撲だけで他に外傷もないし。  しかも、被害者がトウジである。天学生徒ブラックリストにしっかりと載っていて、学校中に名前が知れ渡っている問題児生徒の事など心配するだけ損、損とばかりに誰も心配しない。それどころか、トウジさえいなければ「ヒカリ・洞木」もいつもの委員長様に戻るだろうと、一部の生徒は心の平穏を取り戻せると大喜び(笑)2−A生徒以外の生徒はあの奇声の正体を知らないので表面上はちょっとばかし恐いと思っているように見えるのだが、心の中では好奇心全開である。基本的にこの天学、多少の例外はあれども「冒険精神旺盛」な生徒が揃っている。もっと言ってしまえば「地雷があれば踏みに行く」、「駄目過ぎ」が天学生徒をもっともよく表した言葉なのである(笑) 「天学に入った以上、畳の上では死ねないな」などとも言われたりする。

 トウジが天学付属の大学病院に送還され(注2)、2−Aには4つの空席が出来たまま午後の授業が始まった。鬼の居ぬ間になんとやらで、とても、とても平和で平穏で和やかな雰囲気で授業が進行していく。



注1 保健室の先生は2人います。交代制ね。で、保険医さんはトウジを診断して念のため救急車を呼んでいるからいないのです。
注2 「天国に最も近い病院」として有名(爆)すげーヤな病院だな(笑)

TOPへ





  4笑ヘ 5笑へ   トップへ  MyNovelへ   BBSへ  メルメル〜