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親父補完委員会((笑))【ゲンドウ
日時: 2011/10/25 23:53
名前: 何処

【ゲンドウ・心の向こう側−残渣−】


夢を見た。


懐かしい夢だった。


夢と言うより思い出か。

…否、夢物語の様な思い出だから夢かも知れない。

あれは何度目の事だったか、私が妻と映画館へ行った時の夢だ。

夢の中私は妻と映画を見ている。
妻と二人、ポップコーン片手に益躰も無い…いや、他愛ないストーリーを眺める。

隣には空虚な在り来たりの子供騙しを楽しむ妻。幸せに満ち日々の暮らしに充足した日常に育った女…

私は何故ここに…この女の隣に居るのだろう。

…自ら望んだ筈の存在になり居場所を得ながら、苛立ちを抑えられずに居心地の悪い椅子の上に身動ぎして一人背を伸ばす。

ふと掌を眺める。

何時でもこの掌が私を現実へ…過去へと引き戻す。
…あの地獄こそが私の現実だったから。

治療の甲斐無く倒れ行く飢えた難民、痩せ衰えこの手の内で息絶える子供、意味無く撃たれる市民、僅かな水と食糧の為身を売り盗み奪い殺し合う民衆、それを助長する狂信者共…

只一欠片の食糧が、只一錠の薬品が、只一本の注射が無いだけで目の前の死を避けられぬ人々を一体何人看取ったのだろう。

僅かな食糧の為子を売る親、援助物資を横流しする役人、薬品の注文書を書き換える上司、援助額を水増しする政府、支援の成果を吹聴する団体、これを機会に領土を狙う隣国、子供達を兵士に徴収する軍隊、利権に群がる企業…人間不信にもなろう。

…だが、私は彼等を笑えまい。自らの幸せこそが一番だと知った今となれば。

この手に残る死の感触を、私は忘れる事無く生きて来た…ユイの手を取るまで。
…良いのだろうか、このまま流されて…
今の私は…


気が付けば既に映画は終わっていた。
立ち去る人々を見送りながら私は座り心地の悪い椅子に沈んだまま。
その時、妻が私の耳許に囁いた。

妻は告げた…彼女が母になる事を。

その瞬間、私の掌は過去を取り落とした。

気が付けば、周囲の目も忘れ私の手は今を…妻ともう一人…二人かもしれないが…抱き上げていた。


▲▽▲



「夢か…」

仮眠室のベッドに靴も脱がず倒れこんだ姿のまま、一人呟く。
私を眠りから引き戻した原因…枕元の携帯端末機が呼んでいる…

身を起こし眼鏡を掛け携帯端末を開く

「…私だ。」

『お早うございます司令、現在06:07です、申し訳ございません指定時間より二分遅くなりました。』

「…構わん。誤差範囲内だ。本日のスケジュールは予定通りだな?」

「は。メインの零号機起動試験は1045予定変わらず。レイの体調も万全です。」

「…ご苦労…1015にはそちらに向かう、準備を頼む。」

「は。」


…一瞬、ユイと赤木君がだぶって見えた。

端末を切り、頭を振りながらシャワーを浴びる為浴室へ向かう。

「…男ならシンジ、女ならレイ…か…」

無意識に私は呟いていた。
…つい力が入った様だ。浴室の扉が音を立てた


△▼△


「レイ!?」

気が付いた時にはもう射出されたエントリープラグへ走り出していた。

非常口開閉ハンドルに手を伸ばす…余りの熱さに手を放しかけ、再びハンドルを握る。

掌が、焼ける。

苦痛が、襲う。


やっと開けたプラグの中…レイは生きていた。

一瞬、掌の痛みを、思い出を忘れた。



…眼鏡を無くした事に気付いたのは暫く後だった。



初音ミク 【VOiCE】

http://www.youtube.com/watch?v=yvTZnxm7u-I&sns=em

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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.67 )
日時: 2015/06/22 22:49
名前: 何処



何時もの天井


何時もの音


瞼を開いた時、私を迎える2つのモノ。それが今は少し違う。


天井も、音も、違う


ふと、当然の事を理解する


そう、ここは病院



今、私は入院していた。




【都合と思惑Y】
【FACE】
http://www.youtube.com/watch?v=aCnoiUlgc1c





私は火傷治療の為に入院している。

息を吸い込む
喉に感じる違和感、胸の奥、肺からの微かな痛み。

目を閉じてゆっくりと息を吐き、再び目を開ける。

日常とは違う、だけど見慣れた景色

ここは、病室。

普段と違うこの天井とこの音が、個室病床で横たわる私の把握出来る世界。
ふと、火傷した時の状況を思い返す。


あの時…

仮設したLCL冷却機能を遥かに超えてエントリープラグに流入した膨大な熱量は、プラグスーツの金属部分から自動体温保護調節機構を破壊しながら逆流。
その熱は逆流経路…プラグスーツ内の冷却配管や各種センサー、電気配線…沿いに私の肉体、主に気道粘膜や表皮細胞にダメージを与えた。


その代償に任務は果たし、作戦は無事遂行され成功した。
結果、私は生存し、回収された。

火傷自体は軽微だが、面積が広く且つ多位に渡り点在する為、治療促進と感染症防止の観点から私は入院する事となり、点滴による抗生物質と麻酔の投与が先週まで行われていた。


現状を確認し、瞼を閉じる。
それが私に求められている行動。
私は傷を治さなければならない。

その為の、最善の行動。

それが、睡眠と休息。

それは、大切な治療行為。

眠り、休息し、時間の経過を待つだけの治療行為。


治療…そう、治療


これは新陳代謝…体細胞の再生、自然置換による治癒を待つだけの療養と呼ばれる治療行為、『待つ』と呼ばれる行為。
『待つ』為に造られた私に相応しい行為なのだろう

私は待ち続けている
『生産』された『目的』を果たすまで
終わりの始まりまで
『無』に還る刻まで
私は待っている
私は待つ
私は…
そう…





…ふと感じる肉体の違和感に、再び目を開ける。


身動ぎ…動きにくい状態の肉体を、ゆっくりと僅かに動かし体位を変える。

動きにくい理由は2つ

鎮痛剤を処方されていても、慎重に動かないと火傷跡が刺激され疼痛が起きる事

感染症を防ぐ為に薬液に浸されたガーゼが複数箇所の火傷部分…体表を覆い、更にその上から厳重に包帯で包まれていて、それが関節の自由度を妨げている事


体位を変え終わる。

慎重に動いたつもりだが、やはり身動ぎしたせいか、包帯の下でガーゼと擦れたであろう部位が疼く。

包帯と油紙に抑えられた薬品を含んだガーゼ。薬液に保護されたその下に存在しているのは、熱に破壊された細胞壁が神経を刺激し続けている皮膚。


ふと左手を見る。
包帯に包まれたその下に存在していた筈の軽度熱傷、そこからの疼痛は

…無い。

常に痛みの電気信号を発信していた部位、赤く腫れ上がった皮膚は今存在していない。


何故なら碇司令の命令で左手の火傷は修復したから。この包帯の下には既に完治した皮膚が存在している。

つまり、私の左手にこの包帯は必要無い。

なのに何故私は包帯を付けたままにしているのだろう。

記憶保存作業時の定期肉体メンテナンスでもこの程度の負傷ならば修復に充分だろう。

もっと簡単な方法もある。この肉体を破棄し、新たな肉体へ記憶を移し変えればいい。

そう、私はレギオンの一部にしてレゴの一つ、多数の私の中の一体に過ぎない。私の名は綾波レイ、エヴァンゲリオン素体にしてリリス制御の試験体、そしてエヴァンゲリオンパイロットとして生産された交換可能な存在、それが私。
予備とも言える他の肉体はある、手間を掛けこの肉体を保持する必要はあまり感じない。

何故…

…今までそんな事を考えた事は無かった。

疼きが脈打つ

そう、完治しているのは左手だけ。他の部分はケロイドにはなっていないものの、軽度…部分的には中度の…熱傷を負ったまま。

しかし、私は司令の命令がなければ自己再生を行う事が出来ない。
そう、命ぜられている。

左手を眺めたまま、思いを馳せる

この程度の熱傷、回復…表皮から真皮までの再生…程度ならば、私自身の意思で代謝を加速させる事で容易く治癒出来る。代償はあるが。

私の肉体構成物質はエヴァと人間とリリスのハイブリッド、人の遺伝子を組み込んだエヴァンゲリオンの人造細胞製の肉体に遺伝子操作したリリス細胞を種痘し生産された。
使徒に等しいエヴァの再生能力を持ってすれば代謝を加速させこの肉体を補修するのは簡単だ、現在の熱傷を負った表皮や真皮を再生する程度の事は問題無く行える。

しかしその場合、補修箇所のリリス化は進行する。
ヒトの遺伝子に在るテロメア…自死因子のカウントも進むだろう。

怪我の修復や軽い火傷の回復程度ならばリリス化した部位の成長は今服用中の薬剤で充分抑えられる。
だが、欠損部位の完全再生となれば話は別だ。
遺伝子操作により劣化したとは言え、再生された部位のリリス化は進行し、それは他の肉体を侵食し始め、仮面を以てしても成長を止められないリリス本体の覚醒を呼ぶ。
リリスの目覚めは私に与えられたリリス細胞への去勢…人為的遺伝子操作など容易く無効化するだろう。
リリスの成長を完全に止めるロンギヌスの槍、それが今だ届かない現状で本来の力を取り戻したリリス細胞の侵食が進行すれば…
…考えずとも答えは簡単に出る、旧東京の使途汚染被害者の結末がそれだ。私は完全にインフィニティ化し無への帰還…リリスへの融合を求めるだけの存在になると予測できる。

そして…

『コンコン』

私の思考はノックの音に中断される。

『…』

ドアに視線と意識を向ける。

医師の定時検診や看護師の見廻りには未だ時間がある。赤木博士や葛城三佐ならばノック後に入室を伝える声が聞こえる。碇司令ならそもそもノックをしない。ならば誰が

再びノックの音

『…どうぞ…』

返答をしながら、ふと疑問が浮かぶ。
私は今までにノックに返答をした事があっただろうか?

ドアが開く

何故か少し遅れて声が聞こえた

『し…失礼します…』

この声を、私は知っている。

ゆっくりと何かを警戒するように入室してきたのは、黒髪の少年。
その姿を見て私は自分の記憶に間違いは無いと確信した。

碇司令の息子、私の同級生、私と同じチルドレン、3人目のエヴァンゲリオンパイロット。

『あ…ひ、久しぶり。寝てるのかとお…あ!ご、ごめん、ひょっとして起こしちゃったかな?それともお、起きてた?』

何故彼が来たのか理由が解らない。そう言えば以前彼は学校からのプリントを持って来てくれた事が有る、何か連絡事項があるのだろうかと思考しながら、発言内容に質問があったので返答する。

『…ええ。起きていたわ。』

『そ、そうなんだ、良かった、起こしちゃったかと…ってあ、いや、その、ご、ごめん、入院してるのに良かったは無いよね、あは…。』

?彼は何を言っているのだろう?

『…』

早口気味に喋る彼の発言の意味を考えていると、彼は何故か慌てた様子で頬を紅潮させながら又早口で話し出す。

『あ!いや、違うんだ、その、決して悪気があって笑った訳じゃ無くて、で、でもお、思ってたよりげ、元気そうで良かった。』

よく意味の解らない発言に困惑しながらも、意味を理解できた言葉に返答する。

『…そう?』

『う、うん。じ、実は何度か綾波のお見舞いに来てたんだけど面会禁止だって…あ、いや、面会謝絶だったから、その…。』

聞き慣れない単語に、思わず問いを返す。

『おみまい?』

おみまいって…何?

ふと、気付いた。

碇司令以外の人に疑問の答えを求め、問い掛ける。そんな事は今までに無い。
その事実に驚くが、そんな私の思考に関係無く彼は話し続ける。

『う、うん。心配で…』

『心配?何故?』

入院してはいるが、軽傷であり回復は順調。現状でも任務復帰可能な私に心配する意味が解らない。

『あ、いや、その…ぼ、僕の為に怪我したみたいなものだし、その…あ!こ、これお見舞い!』

?任務を果たしただけなのに何を言っているのだろう?それより差し出された紙に包まれたこの籠は一体…

『これが…お見舞い?』

『え?あ、ああ、こ、これはその、前の果物屋で買ったフルーツバスケットなんだけど、あ!ご、ごめんこんなので、気に入らなかったかな?その、じ、実はさ、まさか今日面会出来るなんて思わなくてシンクロテストの後ここに来たんだけど、今日面会出来るって知らなかったからさ、慌てて急いで適当に、あ!い、いや適当ってそう言う意味じゃなくって、ま、まああちこち探してお見舞い品買ってきたんだ、で、その、急にあれだったんでお小遣いもあれだったし、て言うか良く見ないで買っちゃったんで中身は良く見てなくてさ、ひょっとして気に入らないかもしれないけど一応気持ちなんであのそのええと…あ、こ、これがパイナップル、こっちが梨とオレンジに…キウイだね、傷まないうちに早目に食べちゃったた方がいいと思うから…あ!もしかして食べちゃ駄目なのかな?アレルギーだとか考えてなかったし、その…邪魔とか嫌いとか食べたくないもの有ったらそれ捨ててくれて良いからさ、あ!ここで捨てたら怒られないかな?これどうしよ…その…ごめん、つい勢いで何も考えてなくって…!そ、そう言えば綾波好き嫌いある?もし嫌いな物有ったら言って、それ僕が持ち帰ってミサトさんと片付けるから。綾波はキウイ好き?』

早口で捲し立てる台詞の幾つかが聞き取れない。

『…良く解らない…』

『え?綾波キウイ知らない?』

漸く意味の解る台詞が聞き取れた。

『知らない』

『あ…そ、そうなんだ…』

表現し難い難い表情を浮かべ何故か言葉に詰まった様子で彼は下を向き沈黙した。

『?』

『…』

『…』

『…あ!も、もし良かったら綾波今からキウイ食べてみない?知らないものを初めて食べる訳だから不安かも知れないけど、味見しないとどんな物か解らないだろ?
気に入らなかったら次から食べなければ良いし、美味しければ又買えば良いし、その…』

『…それ、皮剥く必要有る?』

『え?あ、うん。』

『この部屋に刃物は無いわ。』

『え?あ、そ、そうか…ええと…その…じ、じゃあ、その…あ!こ、こ、これ、こ、ここに置いておくからさ、あ、後でその、だ、誰かに剥いて貰って食べてみて。その…あ!今日食事当番僕だ!急がないとタイムセールに間に合わない!そ、それじ、じゃあぼ、僕これで…あ、そうだ!その、ク、クラスの皆も心配してたからさ、た、多分後で誰かがクラス代表してお見舞いに来るかも知れないよ、うん。そ、それからええと…あ!い、いつまでも長居しちゃ悪いよね、き、傷に障るといけないし、じ、じゃあ又!』

『じゃ…又…』

慌てた様子で立ち去る彼を横目で見送った後、病室で再び一人になった私は無意識に感想と言う思考を台詞として口に出していた。

『…変な人…』

…こんな時も、笑えばいいのだろうか…


今度碇君に聞いてみよう。

ゆっくりと慎重に体位をずらす。今度は上手くいった。目を閉じて眠りに入る。

…笑顔、練習した方が良いかしら…退院したら手鏡を買おう…

意識が黒に塗り潰されるまで、私はそんな事を考え続けていた。




http://www.youtube.com/watch?v=7ZXI7EqjrAw


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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.68 )
日時: 2015/06/28 01:50
名前: tamb

これはこれだけで短編として成立する。

> 『…変な人…』

こういうセリフをナチュラルに言える彼女が嬉しい。

もしこのセリフを、にっこりと微笑みながら言われたら、シンジ君ならずとも萌え死ぬであろう。

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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.69 )
日時: 2015/11/17 23:04
名前: 何処

お知らせ

当方現在喪中にて年内更新が難しくなりました、ご了承下さい。
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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.70 )
日時: 2015/11/29 03:49
名前: tamb

お身体に気をつけて。無理しないようにして下さい。
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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.71 )
日時: 2016/11/06 17:41
名前: 何処

【都合と思惑Z】


―――ーーーー…


コツン コツン コツン コツン

Pi

『赤木リツコ技術開発部長兼主任研究員、命により出頭しました。』

『…入れ…』

プシュン

『…失礼します。』

『…その様子からすれば、さぞ楽しい歓談だったようだな。』

『はい、とても“楽しい”無意味な時間を過ごしましたわ、司令や副司令の“代理”として。
作戦部長などはさっきから射撃練習場に籠っておりますわ。』

『君達には感謝しているよ、お陰で政府と話はついた。』

『?と、仰ると?』

『彼等の“玩具”は試験中の“事故”で喪失する。』

『!?』

『“事故”は想定において最小限の被害で終息する“予定”だ。だが最悪の場合被害はかなりの規模になるだろう、旧都心の廃墟群を巻き添えにして。』

『旧都心を?』

『ああ、さぞ大事になるだろうな。何しろ今だ“旧東京”に未練を残す者は多い。』

『しかし司令、感情論はともかく現実には…只の廃墟です。』

『その“感情論”だよ。もしあそこでメルトダウンが起こり居住が不可能と“改めて”宣言されれば…』

『無茶苦茶です!確かに過去の柵は断ち切るでしょう、しかし郷愁の怨嗟は残り、世論は沸騰……まさか…』

『深読み過ぎだよ赤木博士。陰謀なぞ無い。』

『信用しろと?未だ燻る再遷都勢力の廃都再建論に止めを刺せば結果は内乱です、沸き上がる国政不信は国防への不満に飛び火し国連、いえ、ネルフへの防衛依存体制にさえ反発は…間違い無く広がります。
国民の反発を背景に反ネルフ勢力は増長し、テロにより更なる国政混乱を目指すでしょう。
政情不安を以て勢力を増した上で政治的に独自勢力を形成し、国民に国連脱退を訴え、国防自主化、ネルフ解体を公約に現政権打倒を目指す団体を設立…エスカレートすれば、行き着く先は…クーデター。』

『ああ、“万が一”事故が最大規模で起こった場合、あくまで予測の範囲だが、君の見解はマギのシミュレート通りだ。』

『…つまり、“万が一”の事態は無いと?』

『赤木博士、エヴァンゲリオンはあの起動確率でも現に起動した。いかなる低確率でも可能性はある。』

『白々しいですわね、既に話が着いているのなら当然対策…まさか』

『ああ、保険は幾つでも掛けておきたい。
君には苦労を掛けるが、あの玩具の“万が一の事故”を最悪の手前で停める“準備”をして貰いたい。』

『…判りました。』

『既に旧東京付近の地価操作に関わる団体、徐洗関連株式の動きに関わる会社、怪しい動きの洗い出しは済んでいる。』

『随分手回しの良い事ですわね、厭らしい位に。詰まる処あれですか?最初からあの玩具はこの為の道具なのでしょう?』

『誤解があるようだ、この件に関して“ネルフは”一切関わってはいない。』

『…“ネルフは”無関係だと?』

『ああ、実の所、重工連にも戦自にも政府にとっても、この玩具の計画自体が云わばイレギュラーだ。』

『イレギュラー?』

『先ずはこの玩具の成り立ちから話そう、元々この計画の原案は旧東京壊滅前に遡る…現・戦略自衛隊の前身となる第二特別戦略研究隊が検討していた局地用戦略兵器がそれだ。』

『初耳です、使徒戦に託つけた対ネルフ…エヴァ用の兵器かと』

『それは後付けの理由だ。元は対都市用殲滅兵器…ABCに次ぐ戦略兵器を模索する中で発想された抹殺兵器…デストロイヤーウエポンだ。』

『!?』

『無数の火器とイージスシステムを搭載、二足歩行による不整地走破性能を有し、操縦士不要の自律作戦行動能力と、それを可能とする核動力…時速120qで地形を無視して目標に迫る核動力イージス艦だ。3機もあれば並みの航空部隊や陸上部隊の迎撃を跳ね返すだろう。
加えて核動力…下手をすれば深刻な環境破壊を起こしかねない機体をどう攻撃する?』

『…ならば何故開発されなかったのですか?』

『予算、技術、倫理他諸々の理由はある。
知っているか?未だ超音速SSTは国連とネルフにしか無いがその基礎設計は1950年代だ、幾ら優れていても需要に即さねば不要。
が、不採用の一番の理由は“相手が同じ兵器を持てば意味が無い”からだ。
核兵器のジレンマがセカンドインパクト前の冷戦を生んだようにパワーインフレは自滅の元でしかない。』

『しかし産業界は潤いませんか?』

『その場だけならな。だが生産を続ければ国庫が傾く。ならば核兵器保有の方が未だ簡単で、安価で、汎用性もある。』

『世知辛いお話ですわね。最も、世界の存続を懸けたこのネルフすら予算で苦しいのが現実ですし。』

『ああ、使えない玩具はゴミだ、ゴミは処分するしか無い。あの玩具も本来なら設計図だけが埃を被り倉庫の片隅に眠る筈、だった。』

『…』

『状況を変えたのはエヴァによる使徒迎撃戦だ。
現実に数万tの質量を正しく“身を以て”制止出来る存在はエヴァ以外存在しない、その事実に慌てた彼等は自分達の手でエヴァに対抗する代物を造ろうとした。いや、造らざるを得なかった。』

『…でなければ、彼等は存在意義を問われる、戦略自衛隊も、政府も。』

『ああ、話が早くて助かる。その通りだ、そしてそれは“張り子”で充分だった。
要はエヴァと同等の物が製作出来る証明さえ出来れば充分だったのだ。エヴァがある以上、わざわざそんな代物を新規運用する人員も予算も手間も必要無いからな。』

『宣伝…要は“面子”ですか。』

『そうだ。急遽実機を製作してみせなければならなくなった彼等は、自らの持つ既存の技術で、既存のインフラを利用し、既存の規格で早急に製作建造を行う必要があった。』

『…要は流用品と代替品で手早くまとめた急造品ですか…』

『ああ、だがそれにしても基礎設計があればこそ形になった訳だ。つまり既存の計画で手っ取り早く流用出来る代物を探した、その結果が…アレ(JA)だ。』

『…しかし何故です?それなら事故など起こす必要は…』

『ああ、我々にも“彼等にも”無い。だがソレを望むモノが存在した。』

『誰です?』

『ソレにより得をする存在だ、それは場所時代を問わず世界のあらゆる所に居る。
目先の欲望の為自己以外全てを捨てる存在、遥か昔からそれはこう呼ばれている…“我執”と。』

『我執…ですか…』

『言い換えれば“我欲”だな。普遍的に存在するソレに引擦られた諸々の存在が影響しあい、絡み合い、融合し、加熱加速し一つの生き物の如く成長したモノ…巨大な“欲望”こそがこの陰謀めいた事態の本質だ。
この事態に関わった個々其々に計画めいたモノはある筈だ、だがそれは其々が矛盾と対立に満ち総括すら不可能だろう。
彼等は道化だよ。そして諸々の闇や欲望と共に“道化”は“道化”としての“役割”を果たし、“玩具”は“玩具”として消える事になる。』

『…ではJAの関係者も…“蜥蜴の尻尾”ですか。』

『…それは“彼等”次第だろうな、我々には手出しは出来ない。』

『…』




―――ーーーー…



『…《…だな、では…》…』

『《…否、その場合の対策は講じているが、流石にそこまで無能ではないよ。碇司令にも話は付けた、戦自も静観の構えだ…ああ、最悪の場合は彼等に任せれば良い。…そうか、では代わろう。
やあどうも、今回は大変な事で…ええ…ええ、全く…しかし目先の票しか見れん連中にはお互い苦労しますね…ああ、それは…流石ですね、ええ、御察しの通り…では、第三新東京の例の公共団体から…ええ…ではそちらは例に拠って欠席で…判りました、毎度の茶番ですが一つ頼みましたよ。では又…》
やれやれ、漸く一件片付いたか。さて次は…
《…ああ、幹事長か、私だ。…ああ、強硬採決で固まったよ、例に拠って向こうは抗議と辞任要求までは決まったそうだ、…うん、今回は呑まんとならんな、後釜は…ああ、彼は今回は無しだ。汚れ役は相応しい人間にだね…
!ハハハハハハ、それを君が言うかい?…あ、そう来たか…ハハッ、ああ良いよ…ああ、その日だ…そうか、なら彼等はハンデ5付けたらどうだ?…ではハンデ10だな、分かったよ…おいおい、良いのかい?…ああ、成る程。…そうか、で、何本握る?…言うねぇ、では当日楽しみにしているよ。》』



―――ーーーー…



キイィィィ――――ンインインインインインイン…
フォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォ…


『ピジョン2から管制室、ピジョン2着陸完了。発動機停止』

『管制室了解。』

「はい、お疲れ様でした、技能講習と必要飛行時間はこれでクリアしました。」

「やれやれ、やっとヘリ免許更新終了か。」

「で、どうでした久々のローターヘリは?」

「シミュレーターはたまには動かしてたが…やっぱ腕落ちたよなぁ。」

「ハハッ、今の着陸見てたそこらの雛っ子がそれ聞いたら泣きますよ…ん?あれは…」

プシッ!ガチャ
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

「首跳ねられたいのか!馬鹿や」「…石川か!?」

「お久し振りです日向三佐!っといけね日向三尉!ネルフからお電話です!!」
「ネルフから?」


■□■□


「え?エヴァキャリヤーをですか?…ああ、ジョイントフィッティングですか。…ええ、確かに未だエヴァンゲリオンを実機搭載した事無いですしねぇ…ええ…はい、では…ええ、判りました、では飛行試験後第三新東京国際空港に…え?RATO(ロケット式発進距離短縮装置)の実証試験もですか?」


□■□■


「…リツコ、今、日向君に連絡取れたわ。予定変更で、来週にはエヴァのフィッティング試験出来そうよ。でも良く司令から許可取れたわね〜、今まで散々請求してたのに全〜部却下してた渋チンから。」

「当たり前でしょ?あたし達にあんな仕事押し付けて逃げたんですもの、此方の“些細な”お願い事位は聞いて頂けますね?って言ったらあっさり印鑑ポン!よ。ふざけてるわ全く。」

「…ちょい待ちリツコ、て事は…次回も司令達出る気ナッシングじゃ…」

「…しまった…ミサト、私…やっぱり…」

「してやられたわね…あぁんのクソ髭えぇぇぇっ!!!」

ドカンドカンドカンドカンドカンドカン!

「…ミサト、せめてイヤーマフ付けるまで待って欲しかったわ…」

「フーッ、フーッ、フーッ…あ?あー、ゴミンゴミン、リツコもこれ打つ?」

「流石にマグナム弾連射する気無いわ、そこのSIG貸して。」

「あー、装填済みだからお好きに」
バンバンバンバンバンバンバンバン!チャリンチャリンチャリン…

「…もう一弾倉、いっとく?」




【疑心暗鬼】
http://www.youtube.com/watch?v=SHrzXVJrIz4




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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.72 )
日時: 2017/05/05 12:03
名前: 何処

JA計画公式発表2週間前

筑波学園都市日本重工業連合体第2共同先進技術開発研究所通用口

20:15

『空調修理?』『また大荷物だなこりゃ』

『はぁ、何しろ一晩で修繕工事と機器交換同時進行ですから。今夜電源落とすからこの時間帯でって室長さんから。』

『ああ、空調とメインサーバの冷却システムか、室長から聞いてるよ。先月から調子悪いから今日臨時工事だっけ。』
『あーそれか、道理で皆定時で上がった訳だ。うちの学者先生や一般社員連中が残業無しなんて初めてじゃないか?』
『全くだ、今夜は楽できるな…はい、確認取れました。申請書間違いありませんね、じゃあこれが臨時IDカードです、セキュリティ引っ掛かるから指定ルート以外入らないで下さい。』

『はいはい、分かってますよ。他所で以前バイトが仕出かして酷い目に遭いましたから。』

『あー、あの話そちらでしたか。指定便所は2ヶ所、その案内板のこことそこね。』
『あれか、便所探して次の日まで閉じ込められた学生バイトだろ?ありゃもう伝説だな…はい、検品完了。入って良いよ。』

『はい、じゃ失礼します、室長は4Fですか?ぅおーい、挨拶してくるから皆早く運んじまえよー、朝までに終らすからなー。』

『『『『ウーッス!』』』』

21:32

ゴソゴソズリズリゴソゴソ
『しっかし…定期メンテに乗じた侵入って古すぎな手だよな…しかも今時荷物に混じって侵入やらトイレの点検口から通風口ってマジかよ…んな手今更、古典的過ぎて今時映画だって無いよな全く…』

ゴソゴソズリズリ
『大体内面アルミコーティングの段ボールに酸素マスク付けてドライアイスと一緒に入って赤外線探査抜けるとか、全くゲームや漫画じゃあるまいし…』
ズリズリゴソゴソ
『お、振動センサ発見っと…レーザーセンサもか、て事はあの裏が監視カメラの配線ね、んじゃま…』
ゴソゴソ…

22:23

『よ…っと、到着〜っ、さぁてお仕事〃っと…あー腰痛ぇ…』

22:48

『しっかしえらい旧式な…つうかこれが普通だよな、ウチ(ネルフ)と比べちゃ可哀想か…ん?ははん、こいつは又懐かしい…ここは管理ログから…』

23:48

『コピーガードとコピーカウンター解除…っと、これで…よおし、次は外部警報回線の物理切断で…よっし、これだけ古いなら後はこのまま…?あ?…くそっ、これトラップか?』

Beeeeeeep!Beeeeeeep!Beeeeeeep!

『…先に警報回路殺して正解か。…成る程…ははん、覗き見防止ワーム連動の逆汚染型自殺ウイルスにタイマー付き二重消去プログラムとはね、小賢しい真似を…ふん、ベースはダッカV型バレンタイン仕様の三次改変モデルか、民間企業にしては本格的だが…所詮は民製品ベースの財務管理システムだ、基本構成が古い分ハード側が甘いな、本体だけならばこうで…ちょちょっとこいつをま…こうかな?』

Beeeeeep!Beeeeeep!Beeeeep!

『へぇ?これも二重トラップ?そんなあからさまな偽物、引っ掛かるなんて素人ぐら…え?あ、成る程、ふうん…素人に見せかけた手口だなこりゃ、これ自体がダミーとはね。
ならハード側に直接これで…やっぱりこっちか、よっと…裏から同調周波数設定して…っと、こっからが本番だな。タイミングを合わせて、3、2、1…』

Beepiiiiiiiiiii……

『…ようし、お休み嬢ちゃん良い子にしててくれよ、ちょっと寝てりゃ良いから…』

00:39

『よーし発見、また雑な置き方な…幾ら高度なセキュリティプログラム防壁だからってソイツに胡座かいて頼りすぎだぜベイビー…よし、転送開始…って何だ?裏にもう一枚?…また妙な所に…』

『…えらい量だな、裏帳簿では無いようだが…ん?このファイルコードどっかで見…戦自部外秘だぁ?!?こんなものまで何で?』

『ええと、このコードだと暗号化は懐かしの戦参改五仕様で、だから翻訳コードは…よっし、出たぞ…【JA-000P〈G〉TDRW/cs第五次〔特〕改造基本設計図(極秘)】?何で設計図が裏帳簿ファイルの更に下へ置いて…いや、隠してあるのか?』


ーー



08:52

『お早うございます、空調修理完了しました、これ試験運転結果です、ここにサインを…』

『あーはいはいご苦労様っと。…はいどうぞ。』『あ、ID証はこっちに返却して下さい。』

『はい、検査写真と検査調書は後日検査証に同封して郵送で送りますんで宜しく。』

09:12

『あー腹減ったー』『先輩俺直帰いいっすか?』『…眠い…』『やべ、班長〜運転手限界来てまーす。』

『馬鹿ヤロ、お前が代われよ。SAのどっかで仮眠入れるからそれまで頑張れ…出てきて大丈夫ですよ。』

『あいてて…おいおい事故んなよ保険厳しいんだからな、っと報告入れんと……あ、お早うございます、副司令ですか?青葉です。』

『…』

『…はい、終わりました。ええ、今、現場から高速乗る手前です。例の件確認しました。…それ自体には大したネタはありませんでした。が、しかしまぁ面白い物が混じってましたよ。…いえ、特に重要かどうかは未だなんとも。』

『……』

『ええ、明日帰ったら報告します、それにしてもまさか俺に話が廻って来るとはね…』

『……』

『まぁ、今回は仕方無いですから。何しろ本職が出払っている現状ならね。』

『……』

『はい。では、元の掃除(痕跡消し)は終わってますんで後(始末)はお願いします、私はこれから直帰しますんで。』

『…』

『あ、大丈夫です。…え?いや実は今夜は私用入ってまして…はい、万が一の場合はそこで…はい、報告書は明日…』



【Relight My Fire】
http://www.youtube.com/watch?v=r-_CaWfUcCk



【都合と思惑\】



「…報告は以上です。」

「…しかし凄いな、何かあるだろうと思ってはいたが。」

「…“機械式自動停止装置”とはな。」

「全くだ、まさかゼンマイ式の安全装置とは。あまりに原始的過ぎて思いも寄らなんだ。」

「ああ、電子機器に頼り過ぎる現代人には盲点だ。しかしこれで彼等の余裕に合点が行った。これならば高線量環境も電子情報汚染も関係無い、確実に時間で停止する代物に暴走なぞ有り得ない。」

「成る程、重工連から連絡も行っておる筈の首相が何の心配もしておらん訳だ。」

「ああ。青葉、作戦完遂ご苦労、朝一の出張報告までに解析まで済ますとは流石仕事が早いな。」

「うむ、良くこの時間で上げられたと感心したよ。」

「ファイル自体は一般的な形式の物でしたしね、容量も意外と軽くて助かりました。
最も、現地侵入奪取作戦なんて久しぶり過ぎて大分勘が鈍ってて冷や冷や物でしたがね。」

「いや、謙遜せんで良い。流石は‘“元”内調公安一課’だ。」

「ああ、予想以上の働きをしてくれた。今後も期待している。」

「脅かさないで下さい、司令の‘期待’なんて怖…いや、重責に身が締まる思いです。では失礼します!」

「やれやれ、全く口の減らん奴だ。」「…ふっ…」


ーー


「あ、青葉君。出張お疲れ様、丁度今珈琲入れた所ですよ。」

「お、有り難う。しかし広報も余計な仕事廻してくれる…」

「確か上の指名でしたね?」

「有り難き副司令殿の御命令では断れんでしょ?」

「ぁ〜、確かに…それにしても公開情報解析なんて本来監査査察部か情報部広報ですよね?」

「全くさ、幾ら役職付きの肩書き要るからって副司令に根回ししてまでこっちに話振らないで欲しいよ。」

「それにしても…何で青葉さんなんです?」

「作戦部長と開発部総括が揃って留守だしマコトも空自の定期予備訓練で留守だから。おまけに頼りのマヤちゃんはシンジ君の訓練に掛かりっきりだし。」

「シンクロ試験がメインなんですけどね、でも…なんて言うか、前に葛城さんや先輩とも話したんですけど広報って現場どう見てるんですかね?」

「簡単だよ、自分達に都合の良い解釈してるのさ。」

「確かに。」

「ま、仕事舐めてんだろ。元が民間広告代理店だしな、幾ら依託業務とは言え国連からの直接多年度契約、肩書きはネルフと同等だからって威張り過ぎなんだよ。下請けのネットワークこっちで抑えればもう用済みだってのに。」

「談合して他への依託話潰して回ってるって聞きましたけど。」

「道理で。しかしあの下に強く上に弱くって明から様な態度はなぁ。」

「そう言えば葛城さん、広報から“笑って同席しているだけの簡単なお仕事ですから”って呼ばれた席で、担当に間際で逃げられて代わりに偉い人の相手したそうですから。」

「ネルフ席次三位の作戦部長直々に接待して頂いた訳か。
まぁ、難しい相手なら判らなくもないな。『ある程度の役職』相手には『箔の付く』対応は基本だからね。しかし…葛城台風は大荒れだったろうな、」

「大荒れでしたよ。事前に何聞いてたとか何でこっちが全部お膳立てしなきゃいけないのとか只の資料請求なんて担当者で充分だとか。
おまけに陰で『女の作戦部長(笑)何の作戦練ってるんだ(笑)』とか言ってたから余計に…」

「客IDの人間がネルフ構内で陰口とはまた命知らずな…葛城さん元は外資系だからその手のネタは余計に地雷だってのに。」

「え?軍じゃ無いんですか?私てっきり…本当に外資系なんですか?」

「そ、実力最優先の民間軍事協力会社の超エリート。」

「…それってまさか…傭兵ですか?」

「傭兵ってよりは教官だな。にしても作戦部長が広報ねぇ…幾ら厄介者相手だって面倒事逃げた挙げ句こっちに押し付けるとは幾ら何でも使え無さ過ぎだよ、そんな無能わざわざ抱え…
あ、コネ関係の飼い殺し社員か。納得。」

「?でもあそこ一応一流企業でしたよね?人材なら幾らでも…」

「なのにわざわざ飼い殺しの無能選んで送り込むあたり…案外あの噂本当かも。」

「あの噂…献金代わりの依託事業ですか…。」



ーーー


『…ミサトさん、朝御飯用意出来…また朝からビールですか…』

『あらぁシンジ君ったらぁ真っ面目ー♪ま、いーじゃなぁいあたし今日は明け番で休みだしぃ(ハァト)』

『…はぁ…(…徹夜明けはこれだから…)』

プシッ!ゴッゴッゴッゴッゴッ…
『ぷっはー!くーっこの渇いた身体に染み渡る一杯!正に生きてて良かった人生のご褒美タイムなうって事よ!』

『…(…何だかなぁ…)…早くご飯食べちゃって下さいね、卵焼きになめたけ納豆と味噌汁ですけど。』

『はーい!シンジせんせー卵焼きは何味ですかー?』

『からかわないで下さい、だし巻きとリクエストの砂糖入りの2つありますから。甘い卵焼きなんて始めて作りましたよ…』

『最高!卵焼きヤッター!シンジ君愛してるわ!』

『安っ!?うわ愛やっす!!そんなんでいいんですかミサトさん?』

『あたし的には良いわよ!(きっぱり)』

ガチャン!ペタペタ…

『…クワワ?』

ギャイギャイキーキー

『…クワワワワ…』

ペタペタペタペタバタン!








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メンテ
Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.73 )
日時: 2017/06/05 00:43
名前: 何処

『じゃ、行ってくるわ。留守はお願いね。』

『…あ、はい…行ってらっしゃい…』『クワワ…』




「…ねえペンペン、今のミサトさん…どう思う?」「クワ?」

「何だか知らない人みたいだったよね…でも…」「?クエッ?」

「…いや、大した事じゃ…」「クウゥ?」

「あ、あのさペンペン…こ、ここだけの話だけど、ミサトさんもさ、普段が普段だから諦めかけてたけどさ、だけどああやって仕事絡めたら朝からでもあれだけちゃんと出来る訳じゃない?
ならさ、別にあそこまでじゃなくてもさ、あの半分…いや、せめてあの1/3ぐらいで良いから普段も…いや、いつもじゃなくても時々…まぁ、たまにとか稀にでもいいからさ、本当にもう一寸、少しだけで良いからしっかりしてくれたらなぁ
…って、とか…思うよね?思わない?』
『…クェエェ…』




【Fake】http://www.youtube.com/watch?v=ERMw2IOuN00

【都合と思惑]-1】




日本重工連主宰新型二足機動型格闘戦対応特車(ジェットアローン)公試会場

JA公試開始時刻6分後


…カラン…
ガラッ、ガラガラガラ…

「「ゲッホゲホ!」」

「ゲッホゴホゲホッ…ペッペッ、あ痛たたぁ〜…リツコぉ生きてるぅ〜?」
「ゴホゴホっ…え、ええ、何とかね…貴女にテーブル下に押し込まれた時は何事かと思ったけど…お陰で助かったわ。」

「…良かった…しっかし全く何て日よ、なんとか助かったからいいけど…
にしてもあっのえっらそうな馬鹿技術者がぁ!あれだけ人に大口叩いといてこの様な訳ぇ?」

「…無様ね。」

「そうよ!なぁに来賓前でこんな大失敗咬まして無様な醜態晒してんのよ!
散々ネルフを虚仮にした科白吐いといて結果これ!?なんのかんの言ってちょびっとは役立つかと期待してたのに信じられないわ全く!正直ざまぁだわ!
…って…ちょっち待って…何か忘れ…!?て事は……大変だわ…!いけない!!直ぐに行かなきゃ!これ超ヤバい!!」

「?ミサト?行くって何処へ?」

「コントロールルームよ!あのデカ物直ぐ停めなきゃこのままじゃ大惨事だわ!」

「え?一寸落ち着きなさいミサト!」

「落ち着け?無理言わないでリツコ!
考えても見て、エヴァ並みの巨体が今、私達の目の前で暴走してんのよ!あんたこそ何そんな呑気にしてるのよ!」

「ミサト、それは彼等の責任よ、それに私達がわざわざ進んで関わる必要が有る?」

「信じられないわ…リツコ、あれは30日連続自律運転可能なのよ!
もしあのまま暴走続けて人口密集地やプラント地帯に突っ込んだらもう目も当てられない惨状よ、その前にあのポンコツを何としてでも止めないと!」

「だから落ち着きなさい!幾ら無能揃でも流石に緊急停止装置位は有るでしょ、そっちの対応は向こうの責任者に任せてれば良いわ。
それに…今は目の前の状況に対処するのが先じゃ無くって?」

「…それもそうだけど…しっかしまぁ…これはまた…」

「…惨状ね。」

「あーあ、折角のご自慢の一品が、それもよりによって御披露目舞台でこれじゃあ…他人事ながら目も当てられないわ。
この様ぢゃあ責任者の首一つで済む話じゃ無さそうだし、これから関係者全員が阿鼻叫喚の地獄を見る事になるわねぇ。」

「でしょうね、来賓呼んだ晴れの式典での不祥事なんて遥か昔なら切腹、御家断絶ものね。同情はしないけど。」

「ま、そうね。私もこれの関係者がどうなろうと別に構わないけど、まあちょっち可哀想かも。
にしても来賓かぁ…貴賓席のあたりは…あっちゃあ、完っ璧に埋まってるわ。避難は…って不味い、あそこ奥側だから逃げ様が無い…」

「…上座の辺りは全滅ね…多分即死だった筈よ。苦しまなかった分、救いだったかも知れないわ…」

「まぁ…言っちゃ悪いけどその通りだわ。
“禍福は糾える縄”か…来賓席に空席多かったのは気になっていたけれど、来なかった人は正解だったわね。」

「或は“塞翁が馬”ね。公言出来ないけど今にして見れば不幸中の幸いね。何が吉凶の分け目だったのかしら…」

「全く貴賓席なんて下手に座る物じゃ無いわね。幾ら賓客扱いでもこれじゃあ敵わないわ。」

「安心なさい、私達がソコに座る事は先ず無いから。それにしても…皮肉ね、よりによって貴賓席真上が踏まれるとは。隅の席で助かったわ。」

「“追い遣られてた”の間違いでしょ。
それとも“煙たがれてた”ないしは“ハブられた”の方が正しいかしら?」

「全く以てその通りだけどミサト、例えが酷すぎよ。少しはオブラートに包んだ発言にしなさい。」

「この場で誰も聞いてないわよ…救助、いつ来るかしら?」

「まあ、緊急連絡網は有るでしょうから消防へのレスキュー要請位はとっくに出てるでしょ?
…最も、これじゃレスキューの手に余るわね。」

「〜ま、そうね。重機入れるしか無さそうだし、本格的な救助隊到着まで何人生きてるか…」

「この状況なら多分大半は即死だった筈よ。苦しまなかった分、救いだったかも知れないわ…」

「はぁ…それにしても、まさかシェルターを踏み抜かれるとはね。」

「ええ、幾ら急造にしても普通は機体過重に耐えられる構造の筈なんだけれど…」

「全く、何て手抜きな作りなのかしら。さて、ぼちぼち救助活動初めますかぁ、私ちょっち行ってくるわ。リツコはネルフへ連絡と情報収集お願い。」

「あ、ちょっとミサト待ちなさい!…やれやれ、仕方ない…それにしても見事綺麗に真ん中を踏み抜いたものね…(…真ん中に…貴賓席?)」


ーーー


JA公試開始予定時刻19分後、第二新東京政府庁舎


「暴走?JAが?本当か?」

『はい、詳しい状況は不明ですが、試験歩行開始直後に操作不能となり視察会場を踏み潰し、死傷者も出ているようです。』

「何だって!?」

『それと、出席予定表の政府関係者の安否確認ですが、全員が現在連絡取れず行方不明です。』

「何!で、では…し、首相に連絡を…た、大変だ!首相は休暇中だ!もし出席していたら…や、山本君、い、一体どうすれば…」

「落ち着いて下さい代行、首相の予定は把握しております。
…内密ですがこの状況ですから、他言無用でお願いします。現在首相は外交部や経済界の方々と◎◎カントリーで極秘会合の最中です。恐らく今頃は第2コースのラウンド中ですよ。」

「おお!そ、そうか、そうだったのか!なら先ずは安心だな。
し、しかし山本君、これは大事だよ、直ぐに臨時閣議を…」

「もう一度申し上げます、落ち着いて下さい代行。
今、対応を間違えれば貴方の次期幹事長の席は…又遠くなりますよ?」

「?や、山本君、君は何を…」

「良いですか、今の時点で必要な事は事態の沈静化です。
最高責任者たる首相が無事なのにそれを差し置いて慌てて臨時閣議を招集すれば世界にこの事態が大事だと喧伝するようなものです。
先ずは責任者たる首相への連絡と報告、巻き込まれた人名の把握が先です。
それと首相の無事を関係者に伝える事をお忘れ無いよう。」

「し、しかし山本君、それでは…」

「…今回の事態はあくまでも民間企業の事故、問題は彼等の責任で処理して貰えば良いのです。」

「しかし…この事態に手をこまねく方が不味いのでは?」

「我が国はこの件に関して一切関わってません、下手に余計な憶測を招く必要は有りませんよ次期幹事長。」


ーー


同時刻、某政党本部


『何?JAが事故?本当か?』

「はい、試験歩行中に視察会場を踏み潰したらしいです、現場は相当混乱している様子で被害の詳しい状況は不明ですが、どうやら死傷者も出ているようです。」

『ふむ、死傷者が。重工連も焼きが回ったな、とんだ事故を起こしたものだ。
招待を断って正解だった。うん、これは責任の所在を明らかにし追及しなければならん。』

「現在政府機関が出席予定者名簿から主だった政府関係者へ安否確認を行っていますが、未だ全員と連絡出来ていません。行方不明です。」

『!何、行方不明!?』

「はい、今手を尽してますが大半は未だ連絡取れず安否不明です。」

『しゅ、首相もか?首相もだな?ならば…これは大変だ、首相代行を直ぐに立てねばならん!
おい!直ぐに幹事長代行へ連絡しろ!直ちに臨時閣議を招集しろとせっつけ!政治に空白を作る訳にはいかん、首相代行を直ぐに決めなければならんとな!
非常時対応人事表を出せ!あれに臨時内閣の素案は有ったな、あれに沿って他の議員にも…いや、内の会派から巡に連絡しろ!ヘリの準備だ!一刻を争うぞ、真っ先に辿り着いた派閥が次期政権だ!』


ーーー


同時刻、浅間某ゴルフ場


「暴走だって?」

『はい、試験開始直後に。招待客に死傷者も出ている様です。』

「死傷者だと!」

『はい、会場の監視シェルターを踏み潰した模様です。』

「!何、シェルターを!?」

「…成る程、碇君が警告してくれた訳だ。」

「首相?」

「クックッ…今頃は皆右往左往してるだろうな。
さて、ネルフか戦自か企業連か、或いは野党か身内か米欧か、はてさて一体何処の曲者が欲の皮伸ばして騒ぎ出すか…
最も、当てが外れたと知れば連中さぞ蒼くなるだろうよ。」

「…余裕綽々ですね…」

「当然だよ君。…!ああ、前の組はもう動くな、よし次は私達の番だ。カートの準備は?」

「え?続けられるのですか?」

「君、これはそもそも民間単独事業の事故だ、国の問題では無いよ。
彼等の問題は彼等の責任で処理して貰えば良い。」

「…宜しいのですか?」

「ああ、何しろ我が政府はこの件に関して一切関わっていない訳だからな、下手に手を出して余計な憶測を呼んでも面倒だ。
それに政権側で試験見学者はいない、顔を出した全員挨拶のみで引き揚げている。
最も、彼等も今頃は何処かで羽を伸ばしている筈だよ、私達のように。」

「(誰が曲者だか…)…では、留守番には何と伝えます?」

「そうだな、対応は委せて…ああ、念の為こちらへの連絡は電話だけでいいと伝えておきたまえ。血筋が本物かお手並み拝見と行こう。
さて、我々の仕事はここまで。後は彼等の仕事だ。厄介事は人任せにしてこの休暇を存分に楽しもうじゃないか。」

「しかし…」

「おいおい、未だ2ホール目だよ君、今日の私の好調ぶりに尻尾を巻いて態々面倒な仕事に逃げ戻るつもりかい?」

「…(狐狸か鵺か…妖怪、魑魅魍魎の類いだな、この人は…)
『…ああ、待たせた。事態は判った、又何かあったら連絡してくれたまえ。…ああ、その都度でいい。…ああ、私が取り次ぐ。首相への直電は君の処で止めてくれ。…宜しく頼む』
全く、こと遊びとなると本気ですね…」

「いいや、“遊びだからこそ”だよ。さて、ネルフか戦自かUNか…何処が焼栗を拾うのかな?」


ーーー


少し遡り、公試開始時刻10分後
ジオフロントネルフ本部


『暴走だと?』


『はい、試験歩行開始直後に。衛星画像解析によれば会場のシェルター踏み抜いてます。
現場から発信されている通信傍受の内容からすれば死傷者も出ている模様。葛城作戦部長と赤木博士は現在連絡取れず安否不明です。』

『!何、シェルターを!?』

『死傷者か…2人のID証は新型だったな?冬月、ライフサインはどうだ?』

『少し待て…うむ、大丈夫、繋がっている。反応は…グリーンだ、どうやら無事そうだな。どうする碇?』


ーーーーー…


「ふーやれやれ、なんとかこれで…ん?リツコから?『あーリツコぉ?今救護所設置完了、負傷者搬送は一区切り着いたわ、後は消防なり警察なり自衛隊の仕事…どったのリツコ?』」

『…JAの暴走が未だ停まってないわ。』

「『なぁんですってえっ!?』」




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メンテ
Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.74 )
日時: 2017/06/05 01:10
名前: 何処

「ふーやれやれ、なんとかこれで…ん?リツコから?『あーリツコぉ?今救護所設置完了、負傷者搬送は一区切り着いたわ、後は消防なり警察なり自衛隊の仕事…どったのリツコ?』」

『…JAの暴走が未だ停まってないわ。』

「『なぁんですってえっ!?』」


ーーーー


日本重工連主宰新型二足機動型格闘戦対応特車(ジェットアローン)公試開始時刻10分後
ジオフロントネルフ本部


『暴走だと?』

『はい、試験歩行開始直後に。衛星画像解析によれば会場のシェルター踏み抜いてます。
現場から発信されている通信傍受の内容からすれば死傷者も出ている模様。葛城作戦部長と赤木博士は現在連絡取れず安否不明です。』

『!何、シェルターを!?』

『死傷者か…2人のID証は新型だったな?冬月、ライフサインはどうだ?』

『少し待て…うむ、大丈夫、繋がっている。反応は…グリーンだ、どうやら無事そうだな。どうする碇?』

『…早急に連絡を取れ、各部署は引き続き情報収集に当たれ、警戒コードC発令、MI直通回線フリー、B級以上の職員及びエヴァンゲリオンパイロット緊急招集。』

『『『了解!』』』




【都合と思惑]-2】




『?(碇…幾らカモフラージュとは言え、C警報はやり過ぎではないか?)』

『…冬月、これは大事だ。』

『何?(…碇、これは予測範囲内ではないのか?)』

『…(会場での暴走は兎も角、シェルターを踏み抜くなぞ有り得ない、死傷者が出るなど論外だ。)』

『(どう言う事だ碇?)』

『(判らないか冬月、関与の判明しているどこの勢力もアレが暴走した時点で目的は達成している。)』

『(うむ…確かに彼等にとっては死者の発生なぞ目的を逸脱し過ぎておるか。例え偶然にしても害が多すぎるな。)』

『(ああ、彼等も馬鹿ではない。幾ら創られたシナリオの暴走としても最低限の被害で済む事故となる計算の上、幾多の安全装置を準備していた筈。
となればこの事故はそれらを全て無効化して発生したと考えられる。
考えてもみろ、単なる事故ならまだしも、わざわざ進路を変え偶然会場のシェルターを踏み抜くなど確率上有り得ない。プログラム上でピンポイントを指示しなければ不可能だ。となれば…)』

『(…本来なら有り得ない筈の事故…死傷者…最初から誰かを狙…!?碇、もしや…)』

『(…ああ、この事態は関係者の誰も望んでいない。となれば、これは彼等や我々以外の第三者が暴走に託付けた殺人計画…誰かのシナリオによる要人暗殺目的の暴走の可能性が出て来た。)』

『(寧ろ最初からその目的だった可能性が高いか…と成れば、まさか…証拠隠滅の自爆か?)』

『(ああ、全ての前提が崩れた以上、その警戒をしなければならない。暴走自爆と自動停止、果たしてどちらが先に発動するか…)』

『(“神のみぞ知る”か…確かに状況は想定外だな。老人達の戯れ事の可能性も棄て切れん以上、最悪に備えねばならんか…)』

『(ああ、その通りだ。予定外の事態は常に起こりうる…敵味方分け隔て無く。)
冬月、JAの慣性重量を受け止められるのはエヴァンゲリオンだけだ。準備を急げ。』

『うむ。エヴァンゲリオン緊急移送準備!』


ーーー


「…つまり地軸の傾きこそ季節と気候の…」

「はぁ、かったる。…ん?おいトウジ、あれ、いつものじゃないか?」

「え?あ、ほんまや、おーいセンセ、ネルフ本部のお迎えが来よったでぇ。」

「え?」

“ピンポンパンポーン”『2年A組の碇シンジ君、至急職員室へお越し下さい。繰り返します…』

「…本当だ…先生、すいません行ってきます。」

「あぁ、行ってきなさい。」

「気をつけてな、碇。」「ほんまセンセも大変やなぁ。」

「あ、うん…でも何だろ?(非常呼集かな?でも警報は無かったし…)」


ーーー


「で、この作戦な訳?毎度毎度呆れるわ…本気なの?」

「ええ、エヴァキャリア初の実戦になるわね。」

「それにしてもプランD?低高度精密降下なんて大丈夫?」

「予備バッテリーガン積みだと必要高度取るまで上昇時間が掛かりすぎる、となれば高度4.000mからのピンポイント降下しか無い、それに完全マニュアル降下する訳じゃ無し、難易度は低いわ。」

「でも電池節約にATフィールドによる滑空制御も着地減速も無しよ?減速ロケットモーターと制動シュートだけで移動する目標地点より後方の着地点半径300m圏内への着陸は幾らシンジ君にマギの支援があっても難しいわ。
それにミサト、シンジ君はシミュレートでも5回中3回失敗」

「って言っても着地自体は成功してたわ、なら後は何とかなる。」

「減速タイミングの関係で着陸地点がかなりずれるわ、実戦じゃそのずれが問題なんでしょ?」

「簡単よ、あらかじめずれを織り込んだ作戦立てるだけ。後は司令を納得させられるかが勝負よ、それにしても…稼働時間15分の空挺作戦か…。」

「皮肉ね、エヴァで空挺可能って証明が出来れば良いだけってお題目上の計画だった筈なのに。」

「ええ、予算獲得の詭弁がこうなるなんて…全く、まさかこの身で“ネルフは如何なる事態にも対応可能である”って事を実証する嵌めに落ちるとはね。」

「え?…ミサト今何て?…?この身?」

『赤木博士、葛城二佐、ネルフ本部へ通信繋がりました。』


ーーー


『碇司令!赤木博士と回線繋がりました!葛城さん…いえ、作戦部長も無事です!』

『繋げ』

『はっ!』


ーーー


『…と言う事は…』

「はっ、あの玩具は現在も迷走中、車で言えば運転手無しでアクセルが戻らない状態です。」

『しかし赤木博士、核融合炉ならば事故が起きてもほぼ自動停止するのではなかったか?』

「その通りです、本来なら融合炉は燃料供給が止まれば自然停止する安全な機関です。
しかし自動制御系統の異常により遠隔操作が不可能な今、重水素供給を現時点で停止する手段は有りません。
アレは空冷式、このままで行けば冷媒が尽きプラズマ保持磁界が止まります。通常なら冷媒減少時点で安全装置が作動し燃料供給がカットされ自動停止します。が、そうでなれば…」

『…数十億度のプラズマがマイクロ秒で周辺を融解、蒸発により発生した超高圧により機体は破裂、搭載燃料は瞬時に熱核融合反応連鎖を始める。』

『碇、それはつまり…』

『ああ、地上に太陽が出現する。…水爆だ』

「はい、最悪の場合旧東京以上の悲劇が何処かで再び起こります。タイムリミットは最短10時間後…そこで、葛城二佐発案によるJA停止作戦を本人が説明します。」

「では、先ずCG画像を流します」

『ほう。』『…これは?』

「エヴァによる空挺強襲作戦、今回の作戦に近いシミュレート訓練の立体画像ですです。」

『空挺作戦か、しかし…』『エヴァンゲリオンの稼働時間は最大出力ならば内臓バッテリーで3分、オプション外装を積載しても15分程度だ。足止めにしかならない。』

「足止めで充分です。」

『何?』『…続けろ。』

「端的に申し上げます、JAの外部操作が不可能な現状手は二つ、内部に乗り込みメインコンピュータに直接停止コードを入力し燃料供給を止めるか、非常冷却材を人力で強制注入し融合反応自体を力ずくで強制停止させるか。
何れにせよエヴァで足を止め直接乗り込み、内部操作で停めるしかありません。」

『成る程…それでエヴァの空挺強襲か。』

『だがそれなら我々ネルフが出張らずとも戦自に任せれば良いのではないか?
高速移動するJAへの接舷乗込みは確かに困難だろう、だが彼等の特殊戦仕様VTOLならば充分可能では?』

「はい。ですが一つ問題が有ります。
開発者曰く“ヘリ等飛翔体が下手に近寄れば接近警報により自動迎撃システムが作動してしまう”そうです。しかもIMF識別装置は未搭載、外部製品の為認可試験中だそうです。」

『成る程、それで出たがりの戦自が珍しく手をこまねいておる訳か。』

『…対象の武装は?』

「対地、対空ミサイルや投射地雷は外してあるそうですが、固有内蔵兵装は搭載済み、内容は対空レーザーに腕部単結晶刃、超高電圧放電機に発煙フレア、チャフ発射機等。もし足止めに通常兵器で攻撃などしたら…」

『周辺一帯焼け野原か、最悪閉鎖封印地域が更に拡がるな。』

「地形認識されるエヴァでセンサー死角の後方27°角から接近し、物理的質量で足を止めます。その間にエヴァにデサントさせた移乗要員をJAに乗り込ませ内部操作で強制停止、これしかありません。」

『…うむ、確かにそれしか無いか…』

『JAの外部操作が不可能な現状、直接停止コードを入力するか、非常冷却材を人力で強制注入するしか無いと言う作戦の主旨は理解した。
で、JAに乗り込んで停止コードを打ち込む要員だが今から選考するとして何人必要だ?』

「コード入力は1人で充分ですから選考は不要です、その1人は…私が乗ります。」

「ミサト!(怒)エヴァは貴女の玩具じゃ無いわ!貴女が直接あれ(JA)に乗り込む必要は無いでしょ!貴女は指揮官なのよ!エヴァを下らない自殺願望や英雄願望の道具にするのは止めて!」

「エヴァに直接デサントして降下する体力、降下後の行動指示、作戦の理解度、実行能力、知識、経験、それに重量。
直接乗り込む以外停止方法が無い以上、現時点での適任者は私しかいない。マギもそう結論したわ。」

「!それにしたって貴女の必然性は無いわ!うち(ネルフ)の特務や戦自の空挺にやらせれば!」

「うちの特務に空挺能力は無いの。それに戦自は協力断ってきたわ。彼等なりの作戦が有るらしいし。」

「なら彼等に任せなさい!」

「戦自は面子で言ってるだけよ、周辺被害無視して攻撃を仕掛け、近接迎撃システムを無力化してから乗込み停止を掛けるなんて悠長な事じゃ融合炉融解リミットには間に合わない。」

「司令!これはあくまでデータでのシミュレーション結果です、天候、マギの支援、ほぼ完璧な条件ですがそれでも正直結果は予想できません。」

『うむ…不確定要素が多すぎるか。』

『それが最大の問題か?』

『碇?』

「は?…はい、シンジ君とエヴァの実戦データからすれば可能な計画ではありますが不確定要素は有ります。」

「ええ、何しろ空挺降下はシミュレート試験のみ、実機訓練も無し、頼りはシンジ君の実機経験だけの机上論ですわ。」

『…逆に考えればリスクはその程度な訳だな。』

『何?』「司令?」

「はい、誰もが最初の試験で完璧に成功するとは思いもしませんでしたが、シミュレートとは言え彼はやってくれました。
空挺では“新兵の初降下で怪我する奴はいない”ジンクスもあります、私はシンジ君に懸けます、その進歩と強運に。」

「ミサト…。」

「マギは条件付き賛成1、情報不足により回答保留1、反対1と判断が別れました。司令、御判断を。」

「私は反対です、リスクが大き過ぎます!」


『…どうする碇?』

『…反対する理由は無い、直ちにネルフへ帰還し作戦行動に移れ。子細は委せる。』

「はっ!」「!?しれ…はっ。」


ーーー


「いいのか碇?」

「…ああ、リスクはいかなる場合にも発生する。ならば成功確率の高いものが選択されねばならない。」

「しかし使徒戦なら兎も角、こんな事にエヴァンゲリオンを使いパイロットを危険に晒すのは…」

「エヴァンゲリオンは使徒以外には破壊できない、それにパイロットは未だ居る。」

「…碇…」

「冬月、レイを起こせ。
万が一の事態も有得る。」

「…確かに初号機の使用により使徒迎撃に空白時間を作る訳にはいかんか。
零号機起動準備、パイロット非常招集!
…良いんだな碇?」

「…ふっ…」

ーーー


Pruuuu・Pruuuu・Pruuuu・Pruuカチャッ『…はい…』

『ファーストパイロット綾波レイ、ネルフ本部より通達、非常呼集だ。退院手続きはこちらで行う、迎えの車を裏口に廻させるからそちらへ向かい待機しろ。』

『了解。』





【アジテーション・オペレーション】
http://www.youtube.com/watch?v=9G47LFvkzmM





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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.75 )
日時: 2017/06/06 21:15
名前: 何処


【都合と思惑]-外伝】



「隊長、N2地雷積込完了しました。」

「よし、JA予想進路上作戦地点へ出発、目標の作戦地点への到達予測時刻1930、それまでに埋設を完了させるぞ。」

「了解…隊長、しかしあれ、何で空挺までいるんですかね?」

「さあな、富士で演習してた筈だから訓練帰りついでに頭数揃えに駆り出されたかな?」

「連中、出番有りますかね?」

「軽口を叩くな…偉い人の考えは判らんよ、予算の為か、面子の為かは知らんがな。
何れにせよ俺達は俺達の任務を遂行するだけだ。さ、仕事だ仕事。」

「口を慎め、って事すか?」

「分かってるなら無駄口吐く前に手を動かせ。上に聞かれると厄介だぞ。」

「下手な考え何とやらですか、はいはい了〜解っと。」

「少しは真面目にやれ!全く…(…だが確かにおかしい。演習帰りにしては装備が綺麗過ぎ…ん?何で市街戦装備なんだ?)」


ーーーー


「長官、N2爆弾積込完了しました。地上迎撃部隊もN2地雷埋設に向け、JA予想進路上到達地点へ出発、到達予定時刻1930、それまでに埋設を完了させる予定です。」

「よし、JAを確実に破壊し被害を最小限に食い止める。計画を確認するぞ、参謀!」

「はっ!現在、JAは予想進路上を蛇行しながら約90q/hで移動中、予測地点への到達予定時刻は1930。
作戦計画では長距離砲撃により進路調整を行いN2地雷埋設地点に向け誘導、予定地点に浸入した時点で目標を爆破処理します。
また、JAが予想進路を外れた場合に備え、現在待機中の重攻撃機6機にはN2航空爆弾を装備しました。
もし予想進路を外れた場合、最低限の被害に収まる地点で空撃を仕掛けます。」

「うむ、N2による爆撃により地形が変わろうが多少の汚染が発生しようが、あれの暴走を停める為ならやむを得ないからな。」

「…参謀、しかし何故空挺が待機しているのかね?」

「万が一都市部に接近した場合の避難誘導の為です。他部隊に先行して発進し、空中待機の予定です。」

「そうか、では他に質問、意見具申は無いか…では、作戦開始!」

「「「「「了解!」」」」」


ーーーー


「“うん…ああ、判った。では作戦指令書はbだな、では。”…作戦指令は『b』です。」

「ではネルフ本部にあるエヴァンゲリオン、確かにJAを停めに出動するのだな?」

「ああ、第二東京の制圧中に奴ら(ネルフ)は動けない。しかし2機とも稼働状態だったのは残念だ、1機のみならこの隙にネルフ本部も制圧できたのだが…」

「おいおい、贅沢を言っても仕方無かろう。そもそも稼働機体が1機のみなら彼等もこの事態を静観していた筈だよ、寧ろ良くぞ動かしてくれたと感謝せねばな。」

「しかし…あのエヴァを空輸はともかく空挺降下とは、奴等も碌な事を考えないな。」

「全く困ったものだ。お陰で余計な手間が増えたよ。だがもう大丈夫だ、エヴァンゲリオンの足止めは出来ている。」

「助かったよ、空中給油ができなければ空挺は不可能だ。陸上迎撃なら彼等の庭、第三新東京直前での迎撃になる。JA自爆に巻き込まれるか、JAと共にN2地雷を踏むか。」

「最悪JAと共にN2爆撃に捲き込む型で行ける。言い訳は後付けで何とでもなるからな。」

「おい、エヴァ対策はあくまでついでの作戦だ、忘れるなよ。既に暴走で陽動は成功しているんだ、欲を掻き過ぎては大転けするぞ。」

「ああ、その通りだ。“保険”や“ついで”の作戦が成功しようが本命が失敗しては無意味だからな。
それより厄介なのは日和見首相を片付けられなかった事だ。上手く誘導した筈だがよもや欠席とは。」

「しかし行方が掴めずとも留守な分、警備も手薄だ。今なら簡単に政庁も制圧出来る。」

「TV、ラジオの各放送局、ネットサーバー、新聞社、電話回線、警察に防衛省本部、各省庁のどれも既に制圧準備は整っている。
もし首相が逃げおおせてもUN軍基地以外逃げ場は無い。」

「最悪基地ごとN2で処分できるな。」

「“使徒”なんて化け物を使ったプロレスを我が国で行う“ネルフ”と、それを支援するUN軍、その活動を黙認する政府…過ちは正さねばならない。」

「奴等の行いが事実としても、わざわざ使徒戦などと言う世界を危機に陥れかねん行動を、彼等があくまで独自に行う理由が無い。」

「簡単だよ、“ネルフ”こそが“使徒”を操作している黒幕だからだ、奴等ネルフはその為に創出された機関だ。
“使徒”などと言うありもしない危機を演出し、その存在を以て自らを正義と騙り、エヴァンゲリオンなどと言う玩具の人形を決戦兵器と祭り上げ、使徒と闘う演劇で世界を欺きながらその傍らで奴等は世界を牛耳らんと暗躍している。」

「ああ、そしてその傍らでネルフの行動を黙認しひたすら暴利を貪り力と富を蓄えているのが、その上部組織たる“UN”だ。
政府を金で操り、マスコミを抱き込み、教育を捻曲げ世論を歪んだ平和主義へ誘導した。」

「全く奴等らしい。セカンドインパクト後の混乱を利用し、世界中の既存戦力を半ば強制的に拠出させて創出した“平和の為の抑止力”としての国連軍が良い例だ。
結果、各国独自の戦力は今や往時の1/4だ。今やどの国も単独では自国を守る事もままならない。一方で“平和の為の抑止力”とやらは今や誰も止められない国連独自の暴力装置と化した。
現状を見ろ、各国は自律した政治を行えず国益を損ない続け、我が国も国権たる戦力を供出させられ続けている。
使徒戦においても戦略自衛隊は彼等の指揮下、顎で使われ戦力を無為に消耗している。“抑止力たる彼等”国連軍の身代わりにな。」

「このままでは我が国の独立を守り抜く事は困難だ、独立国家としての主権を我々は護らなければ。」

「ああ、政府がこの国を売り渡す前に、政治を政治屋から主権者たる我が国民に取り戻さねばならない。
そしてネルフを我が国から追放する事で使徒の脅威を排除し、名分を失った国連軍駐屯を取り止めさせる。
それをして初めて我々は晴れて自主自由自律自尊の独立国家としての権利を真に取り戻し、正義を勝ち取った事になる。」

「「「「「“真の独立の為に”」」」」」


ーーーー


「…ヒトは愚かだ、自らが信じたい事を信じ、事実を捻曲げ曲解し、現実から目を背け、理性を閉じ感情の赴くまま思考を放棄し理解を拒む…」

「…では、彼等は預言に従い、反逆を企てているのですね?」

「ええ、そして預言通りクーデターは失敗するでしょう。しかしそれこそが神の導き…彼等は世界を神の御名に統べる前の露払いなのですから。」

「…世界に蔓延っていたソドムとゴモラの如し歪んだ文化により穢れた都市郡は預言の通りセカンドインパクトにより潰え、現在のバビロニアたるネルフはサードインパクトに消える定め。」

「ヒトは唯神の教えのまま、神の御使いに従い、神の誘い示したる道を行けば良いのです。神の示したる新世界、アルカディアたるシオンの地で新たなる世紀を紡ぐ為に。
それが如何に困難な、苦痛と苦難に満ちた道の先にある狭き門でも、導きに従い我等は向かうのです。
殉教した先達の聖人達の魂が、そして数多の精霊がその先を照らします。そして我等は苦難の果てに狭き門を抜け、新たな世界を迎えるのです。」

「…神の託言を違える存在は…異端は排除する。
神の定めし託言こそ救いの道、預言を守りてこそ、ヒトは祝福され救われる。
それこそが正しき神の教えを以て、ヒトを正しく全き路へ誘う唯一の法。」

「神の託言を曲解し捻曲げた異端、人類補完委員会。
そしてその異端が呼び起こしたる堕天の証、呪われし者エヴァンゲリオン。
祝福の名を冠したこの赦しがたき咎人により奮われ数多の御使いを屠り葬りたる、許されざる罪人の名を冠したる悪魔の枝、ロンギヌス。
斯くの如き悪の聖典を揃え異端の儀を行わんとする彼等の邪悪な企みは粉砕せねばならない。」

「そうだ、そして我等は彼の者等により囚われしアダムを解放せねばならぬ。セカンドインパクトのごとき失敗は許されない。」

「だがセカンドインパクトは部分的には成功した。確かにアダムの解放には失敗したが、ソドムとゴモラの類いたる堕落都市群を滅ぼし、その影響は世界を一つに纏める原動力となった。
観よ、今や国の枠は形骸となりつつある。聖人葛城博士の献身は無駄では無かった、後は我等が正しき世界を樹立するのみ。」

「そうだ、正しく全き清浄なる祝福された新世界は、神の示した導きに従いし我等により開かれ、そして新たな世紀を我等が紡ぐのだ。」


ーーーー


『…ねぇ、今の聞いた?全く失礼よね、遥か遠くの穴蔵で陰に隠れて私の事を堕天の証だの呪われし者だの…わざわざ十字架の前で言わなくても良いのに。
でも彼等の言う事も或る意味事実だわ。
そう、相変わらずヒトは愚かよ、自らが信じたい事を信じ、事実を捻曲げ曲解し、現実から目を背け、理性を閉じ感情の赴くまま思考を放棄し理解を拒む…
判る?折角貴方から知恵の実を授かりながら、ヒトは未だそれを喉につかえさせたまま。どう?これが貴方の罪の結果よ。
ねぇ、どう思う?アトラスの罪科に眠りし貴方、ヱヴァを貶めヱンディォムと共に楽園を追放させたる翼の生えた蛇。
それともケツアルコカトルともロキともプロメテウスとも呼ばれし貴方にはやはり通り名の通り明けの明星の名を冠したる悪魔やサタンの方が聞こえが宜しくて?
ねえ、堕天の罪咎によりヒトの最後の試練として現世に遺され眠りし物、使徒カヲル。

でもね、ひとは愚かだけど、時に善い事を行い、真実を語るわ。“神は天に在り、世は凡て事も無し”…これ、リリンの戯れ言よ?信じられる?

恐らく貴方の目覚めは遠く無い…神の御使いとして、ヒトへの試練として、天秤の最後の重石として。
槍を抜かれ目覚めたら、貴方が与えし知恵の実の成果、その目で測り、計り、図り…謀ればいいわ。

そう、貴方の好きにすれば良い。判る?この世界に受肉した今や、私は唯の天秤。全てを知りながら中立の枷に囚われ為す事は叶わぬ唯の傍観者にして観測員、雲の上の観察者よ。彼女の望み通り。
私?私の意思は関係無いわ、元々絶対中立の枷の下で上に乗りしモノを測るだけの存在ですもの。
…成る程、確かに私を使えば使徒は確実に倒せるわ、何しろ絶対中立の枷が運命として私を守るのだから。知恵の実は伊達では無かったわね。
でも不思議、私の何が福音なのかしら?方舟役なら昔したけれど。
リリスの血肉と壊れたアダムの欠片にリリムの心、スパイス代わりに知恵の実の雫と命の実の干からびた皮一片、過去たる私の今の肉体を容創る殻はこんなモノ。
私の同類は…今は北極海ね、現在の通り名通り運命の悪戯で受肉したヒトの肉体で刹那の人生を謳歌してるわ。
もう1人?未来は未だ生まれないわ、リリムの殻の中よ。

…毒されてるかも知れないわね。貴方は知らないでしょうけど、全てを産み出す母なる肉体は未だ聖女のまま、遥か地下の底アダムの仮面の下で受胎を待っているわ。
さて、聖女リリスの心たる無垢なるリリムとマグダナラのマリアは、聖女の番に誰を選ぶのかしらね?
貴方の愛した聖なる贄リリン?やはり彼の望み通りアダムの欠片たる使徒?それとも…貴方かしら?
慣れてるでしょ?リリムを利用するのは?貴方自身が遷天の為に又使ってあげても構わないわよ?貴方がたぶらかし唆した昔の様に。どうせ貴方も受肉すれば只の天秤の錘なんだから好きにすれば良いわ。

けれど覚えていて、私は無能な船大工の妻にして聖なる贄の母。
聖なる母にして処女、不埒低俗な売女にして無垢、無知不貞な淫売にして聖女、けれど私の心は唯のリリム。そう、私の心は…』


「エヴァ初号機、エントリープラグ挿入!搬送準備完了!空港への射出ルートオールグリーン!」

『こちらエヴァンゲリオン初号機パイロット碇シンジ、何時でも行けます!』

「いいな、碇」

「ああ。」

「よし、エヴァンゲリオン、発進!」

「はっ!エヴァンゲリオン射出!」




【被害妄想携帯女子(笑)】
http://www.youtube.com/watch?v=TaCOxc33H6Q



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Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.76 )
日時: 2017/06/06 21:34
名前: 何処

『…只今高度5.000、第三新東京到着まで約15分。』

「ミサト、エヴァの左側プログレッシブナイフ収納室への簡易座席設置は完了したそうよ。
それと注文の防爆型高気密式高圧高線量下重作業用特殊防護服、無事第三新東京国際空港に届いたって。本部から今連絡が来たわ。」

「良かった、何とか間に合ったか。で、作業可能時間は?」

「カタログスペック通りなら、循環空気清浄装置と冷却機能の使用制限時間は90分。
最も実際にはバッテリーと二酸化炭素吸着剤、添加酸素の容量から逆算して実質最大60分強って所ね、他に非常用酸素ボンベを搭載、この容量は高負荷で15分弱って所よ。これは交換可能な予備品、規格が一緒で助かったわ、エヴァに乗り込んだらこの予備を利用して。…ねぇミサト?」

「ん〜何〜?」

「改めて聞くけど…止めるつもりは無い訳ね?」

「今更よ、他に手が有れば良かったんだけどね。
ま、次の使徒がどんなものか判らない以上、あらゆる事態に対応す必要がある事に変わりは無いし。リツコは早めにネルフへ戻ってこっちの支援をお願い。」

「それにしても…ん?
『はい、赤木で…?どうしたの?…判ったわ、今代わるから。』
ミサト、日向君から緊急電よ。」

「日向君からぁ?こんな間際に一体…」





【都合と思惑]-3】





「…はい、やはり給油機が間に合いません。」

『なぁんですってぇ〜っ!?』

「今も急かしてますが、給油機の準備には後2時間は掛かります。
で、今ざっと計算したんですが、超大型全翼輸送機(エヴァキャリヤー)にエヴァンゲリオンを増設バッテリー2連積みで搭載すると離陸可能搭載燃料は1/5、つまり離陸にRATO(ロケット推進短距離離陸装置)を使用しても飛行時間は32.4分、逆算すると旧三沢や百里の空中給油機の給油ポイント到着リミットはエヴァキャリヤー離陸の5分前、ですが…」

『…間に合わないわね、仕方無い、何か代替案…って日向君!エヴァキャリヤーが着陸可能な空港って第三新東京国際空港以外に関東近辺には無いわよ!』

「ええ、エヴァンゲリオン投下後はそっちに向かうしか無いんですが…」

『…無理ね、燃料が持たないわ。何しろこの機体の旋回半径は相模湾で回り始めて銚子沖で漸く旋回が終る位の運動性能よ、それに旧羽田は海の底、旧三沢への待避はおろか成田、百里にも届かない。』

『となれは海上への不時着水か…やむを得ないわね。(あ"〜エヴァキャリヤー亡失となれば今回は絶対始末書じゃ済まないか…トホホ…)』

「まあそれしかありませんね…通常なら。」

『?「通常なら」って…!?日向君!もしかして何か手が有るの?』

「…有ります。」

『いい加減な事言わないで!不可能だわ!』
『ち、チョッチ待って!…その“手”って…何?』

「ここ(第三新東京国際空港)に帰ってくればいいんです。」

『だからそれは不可能なの!』『リツコ黙って。』

「はい、このタイムスケジュールだとエヴァンゲリオン投下後旋回開始しても第三新東京どころか成田手前、東京湾千葉沖で燃料切れますね。普通ならば。」

『!分かってるなら何で…日向君、貴方何が言いたいの?』

「要は横旋回だから駄目なんですよ。ほら、空には縦もありますから。」

『縦…?』

『ちょっち待って…て事はまさか…日向君!貴方まさか全翼機で木の葉落とし仕掛ける気ぃ!?!』

「おぉ、流石は葛城作戦部長、良く判りましたね。」

『そんな事で何感心してるのよ!しっかし呆れたわね…マジ有り得ないんだけど…』

『ミサト、木の葉落としって一体…』

『…元は空戦機動技術だけどね、縦旋回の頂点で推量カット、自由落下中にエンジン再起動、通常では有り得ない方向転換を可能にするわ。』

『…そんな手が…』

『有るには有ったか…けど正直その手は思いもしなかったわ。(最も、縦安定の弱い全翼機で木の葉落としなんて自殺と同じだけどね。)』

「で、どうでしょう?計算上ならいけますが。」

『日向君…どう解釈してもそれ、自殺か自滅の2択よね?幾ら何でも正気の沙汰じゃ無いんだけど。』

『…そんなに危険なの?』

『2階建てバスでアルプス下りのヒルクライムする程度にはね。(…ましてやあの“ギガント”で高機動なんて間違い無く空中分解スレスレのGが掛かる、正しく目隠し一輪車の綱渡り…だけど…)…改めて聞くわ、日向君、本気?』

「まぁ多少困難な機動ではありますが、エヴァンゲリオンの機動確率に比べれば蟻と鯨の差がありますから。
それに荷物降ろした空荷ですし、私の計算では機体強度的には余裕で大丈夫ですよ。」

『そういう問題なの?(ヤバいわ…日向君が“多少困難”ってこれマジヤバいレベルの話だわ…でも…手が有るなら…)
…良いわ、日向君、貴方を信じる。貴方の腹案通りその“独断”進めて頂戴。』
「判りました。」

『…良いのね、ミサト?』
『ええ。日向君、葛城ミサト作戦部長から貴方に今作戦におけるフリーハンドを宣言します。
手筈は任せたわ、報告以外連絡も不要よ。責任は私が取るから必要物資、情報は好きに集めて使って頂戴。』

「了解!」


ーーーー


『どう言う事だ!何故緊急閣議を召集せんのだ!』

「何故と言われましても、その必要はありませんから。」

『馬鹿者!首相が未だ行方不明だというのに何をふざけている!危機管理の意義を知らんのかこの屑が!
この事故に捲き込まれた政府関係者が一体何人おるかすら未だ不明なのだぞ!責任者不在の今、早急な臨時首相の任命が必要だと言う事実を認識せんか役立たずが!』

「は?誰が巻き込まれたのですか?政府関係者は全員無事ですが?」

『何ぃ!?ばっ!馬鹿な事を言うな!首相が招待され出席される予定だったのはこちらでも承知しておる!』

「は?首相は確かに招待されておりましたが、所用により祝電を送っただけでして、試運転披露には欠席しており、出席されてはおりませんが?」

『な!?何だと!?け、欠席だと?そんな馬鹿な、首相はJA推進派の筈だ、何故首相が欠席…い、いや、それより…そ、そんな事はどうでも良い!で、で、では首相はい、今一体何処へ…』

「首相は休暇中です、現在は経済界や外交部門の方々と懇談しておられるかと。」

『は!?き、休暇だと?何て馬鹿な事を!い、一体首相は何を考えているのだ!この非常時に何を悠長な!国の危機を何だと思っておるのか!』

「国の危機?民間企業体の起こした単独事故が?」

『何ぃ?!おい!お前何を言っておる!冗談は休み休み言え!現状を把握せんか!あ、アレは核を積んでおるのだぞ!もし万が一』
「万が一は起きませんよ、決してね。貴方がそれは良くご存知の筈です」

『な、何ぃ?な、な、何をを言い出す!?き、貴様一体何を』「言っても宜しいのですか?この会話は録音されておりますよ?」

『な!何だと…き、貴様ぁ、生意気な…よよよくも私にそんな舐めた口を叩きおって!わ、私を誰だと思っておる!お前なぞ辞めさせてやるわ!』

「…ご自分の身辺整理の方が先では?胡散臭い連中との付き合いは脚を掬われますよ、この際、そちらも整理なさった方が宜しいかと。
…最も、間に合うかは判りませんが。」

『な!どう言う意味だ!き、貴様、い、一体何を何処まで知っている!?』

「失礼ながら、何故、知っているのが私だけだとお思いですか?」

『!?』


ーーーー


シュパッ!
パチパチパチパチ
「ナイスショット!」

「これはこれは、今日は首相に良い所を全て拐われましたな。」

「いや全く、これでは私達は添え物で終わりそうですな。」

「なあに、たまには良い所を見せねば立場が無いだろう?」

「又又ご冗談を…さて、あの玩具はどうなりますかね?」

「ああ、どうやらネルフが処理する様ですな。」

「ほう、戦略自衛隊もN2を持ち出し動いていた様に見受けましたが。」

「ええ、ネルフからの給油機派遣要請に難癖付けて出張ろうとした様でしたがね。」

「ふむ、しかし政府に無許可で国連に通達も無くN2を持ち出すとは、これは責任問題ですな。」

「全くです、おまけに空挺による市街訓練をこともあろうか通達無しで首都で行う予定らしいですからな、全く何を考えているのか…」

スパン!
「ファーっ!」


「…大臣、今日は不調ですな」

「某国の大使もですがね。体調も悪そうですし。」

「しかし重工連の会長は全く動じてませんな、見事な程に。」

「全くです、それに比べ…」

パキャツ!
「…」

「やれやれ、又ダフってる。あれが外資系1の金融保険のトップなのかい?」

「余り苛めなさるな、当てが外れてあちこちへの今後の対応を思い心此所に非ずなんだろうよ。」

「…あの様子では、さぞや大きなベットをしたのだろうな、何事も保険は必要だと言うのに肝心の保険屋が目先の欲に負け後先考えず動いた挙げ句にアレでは…」

「やはり金貸しが本業を忘れると駄目ですな、それに比べて…」

シュパン!
パチパチパチパチ
「ナイスショット!」

「…流石海千山千の強者ですね。」

「…あの図太さを彼も見習うべきだな。」

「いや全く。」


ーーーー


『中止だと!?』

「全ては罠です、直ちに中止を!」

『今更何を言っている!既に全ては動き始めているんだぞ!』

「判りませんか?計画が露呈した今、既に我々に勝目は有りません。」

『…もう停められん…』

「やむを得ません…今は只、捲土重来を期して身を隠して下さい、可能な限り証拠は破棄します。」

『何だと!?何を馬鹿な、この期に及んで彼等の想いを踏みにじり、見棄てろと言うのか!?』

「やむを得ません、次の機会を待ちましょう。チャンスは必ず来ます。」

『…私に尻尾を巻いて逃げろと言うのか!?貴様、私を卑怯者に貶めるつもりか!?』

「議論の余地は有りません。貴方さえ残れば再び我等は立ち上がれます。では御武運を!」

『おい待て!話は未だ終わっておらんぞ、貴様一体何を』pi

「…囮はこれで良い、あの性格なら逆に逃げないだろう。それにしても…見事にしてやられたものだ。
…糞っ、所詮釈迦の手の内か…だが覚えていろ、喩え今は蟷螂の斧でも、我々は何時か必ず貴様らネルフを潰してやる!必ずだ!」

「参謀!脱出機体の手配完了しました、急いで下さい!」

「今行く!」


ーーー


「エヴァキャリア、目標空域に到着しました。」

『良いわねシンジ君、使徒相手じゃ無いから、貴方は何も考えなくても大丈夫よ、只打ち合わせ通りに行動して頂戴。
大丈夫、日向君が上手く落としてくれるわ。後はマギがネルフから指示するから、その通りに動いて。シミュレータ試験と同じようにすれば良いわ。』

「はい!ミサトさんも気を付けて!」

「フフッ、ありがと。」

「では今から急上昇を掛けます、しっかり捕まってて下さいよ!」

「「了解!」」


ーーー


「司令、ウイルス解除成功しました。しかし…ええ、パスワードが変更されています。機械式停止装置が先か、熱暴走が先かは微妙です。引き続きパスワードの解析に入ります。」


ーーー


「何…だと…」

「…なあ、見たかよあれ…」

「お、おう。」

「…全翼機で左捻り木の葉落とし…出来るものなんだな…」

「墜ちたかと思った…」

「なぁ、何であの状態から回復出来るん?なんで普通に安定するん?あれ、スピンに入っちまうんと違わん?」

「翼端一瞬光ったから多分スラスタ増設したんだろうけど…」

「投下引き起こし、良く間に合ったな…地上掠めそうだったぞあれ…」

「強運だよな…お、エヴァが今JAに取り付いたぞ。」

「頑張ってるなぁ…」





【フレイムハート】
http://www.youtube.com/watch?v=KQ12yTqAjmU





『JA,行動停止しました!』『やったぁ!』『葛城さん、流石です。』『シンジ君も良くやった!』

『…よかった…』

『『『『え?』』』』

『?何か?』




ーーーー





「…奇跡は準備されていたのよ…誰かにね。」






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